タグ

ブックマーク / nikubeta.hatenablog.com (36)

  • デカルトの(空虚な?)実体論 Pasnau, Metaphysical Themes, 25.6 - オシテオサレテ

    Metaphysical Themes 1274-1671 作者: Robert Pasnau出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2013/03/01メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログを見るRobert Pasnau, Metaphysical Themes 1274–1671 (Oxford: Clarendon Press, 2011), 596–605. 人間の精神と肉体はいかに一体の実態を構成するのか。この難問へのデカルトの対応を検証した節である。17世紀の論者のうちには、ピエール・ガッサンディやロバート・ボイルのように、人間精神はその肉体の形相であると認める者がいた。しかしそう認めることでなにが説明されるかを彼らは明らかにしていない。GerardとArnold BoateのPhilosophia naturalis reformataでは、実体形

    デカルトの(空虚な?)実体論 Pasnau, Metaphysical Themes, 25.6 - オシテオサレテ
  • 失われた孤本を追え 折井、白井、豊島『ひですの教』 - オシテオサレテ

    ひですの経 作者: 折井善果,豊島正之,白井純,ハーバード大学ホートン図書館出版社/メーカー: 八木書店発売日: 2011/12メディア: 大型この商品を含むブログを見る 折井善果、白井純、豊島正之釈文・解説『ひですの教』八木書店、2011年。 17世紀の初頭(1613年ごろ)ルイス・デ・グラナダの『使徒信条入門』第1巻を日語に抄訳した書物『ひですの教』が長崎で出版された。長崎にあったサンチアゴ病院の住院にあった印刷機で印刷されたものである。この書物のゆくえはその後20世紀初頭にいたるまで不明であった。それが1907年にベルリンの書店の目録に現れる。しかしそこからまた行方がわからなくなっていた。それが2009年にハーバード大学のホートン図書館に所蔵されていることが確認された。この現存する唯一の刊を影刻し、釈文と解説を付したのが冒頭にあげた書物である。私には刊や釈文を読むことはできな

    失われた孤本を追え 折井、白井、豊島『ひですの教』 - オシテオサレテ
  • 変動する文化とその接触 折井『キリシタン文学における日欧文化比較』 - オシテオサレテ

    キリシタン文学における日欧文化比較―ルイス・デ・グラナダと日 (キリシタン研究) 作者: 折井善果出版社/メーカー: 教文館発売日: 2010/12メディア: 単行この商品を含むブログを見る 折井善果『キリシタン文学における日欧文化比較 ルイス・デ・グラナダと日』教文館、2010年。 折井善果『キリシタン文学における日欧文化比較 ルイス・デ・グラナダと日』は、表題からするとグラナダに焦点をしぼっているようにみえるものの、じっさいには西欧文化と出会った戦国日の経験をひろく探る書物となっている。 第一部では論じられるのは、ルイス・デ・グラナダという人物の解説と、その各地での受容のありようだ。信仰文学の出版が盛んであったスペインにあって、グラナダは中世以来の神学・哲学の伝統に根ざしながら、どうじに宗教改革が突きつけていたカトリック教会への挑戦にこたえるかたちで、著述活動を行った。彼は民

    変動する文化とその接触 折井『キリシタン文学における日欧文化比較』 - オシテオサレテ
  • ルネサンス魔術の脱現代化 Zambelli, "Must We Really Re-appropriate Magic?" - オシテオサレテ

    White Magic, Black Magic in the European Renaissance: From Ficino and Della Porta to Trithemius, Agrippa, Bruno (Studies in Medieval & Reformation Thought) 作者: Paola Zambelli出版社/メーカー: Brill Academic Pub発売日: 2007/07/30メディア: ハードカバーこの商品を含むブログを見る Paola Zambelli, "Must We Really Re-appropriate Magic?" in White Magic, Black Magic in the European Renaissance (Leiden: Brill, 2007), 1–10. ルネサンスの魔術、占星術研究で重要

    ルネサンス魔術の脱現代化 Zambelli, "Must We Really Re-appropriate Magic?" - オシテオサレテ
  • 天を描きだす古代機械 マーチャント『アンティキテラ』 - オシテオサレテ

    アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ (文春文庫) 作者: ジョーマーチャント,Jo Marchant,木村博江出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/11/10メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 4回この商品を含むブログ (13件) を見る ジョー・マーチャント『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピューター』木村博江訳、文春文庫、2011年。 良質の科学史読物です。そう、古代の技術のとてつもなさに驚嘆したり、それが発見され解読されていく過程で駆使される最先端テクノロジーに興奮したり、そういうすべてに関与する人間たちの喜びや葛藤に共感したりできる。 20世紀の初頭にギリシアの海から引き上げられた不思議な歯車機械。アンティキテラと名付けられたこれはなんぞ?天に関係があるに違いない。アストロラーベか?プラネタリウムか?いやなんかそういうものではなさそうだ。 そもそもいつごろ

    天を描きだす古代機械 マーチャント『アンティキテラ』 - オシテオサレテ
  • 考古学と突き合わされるアブラハムとモーセ 長谷川『聖書考古学』#2 - オシテオサレテ

    聖書考古学 - 遺跡が語る史実 (中公新書) 作者: 長谷川修一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/02/22メディア: 新書購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (21件) を見る 長谷川修一『聖書考古学 遺跡が語る史実』中公新書、2013年。 第3章以降は考古学の痕跡と文献学の史料の双方を批判的に検証しながら史実を再構成するという作業が実践されます。そこであらわれる歴史の姿は旧約聖書の記述の信憑性を突き崩す破壊的なものになります。だからこそ興奮を誘う。特に面白いのがラクダの話です(76–82ページ)。アブラハムからその孫ヤコブにいたるまでのいわゆる「族長時代」の出来事を記した旧約聖書の箇所にはラクダが頻繁に登場します。族長時代は聖書の記述から判断するに、紀元前2160年頃から1870年になります。しかし実は考古学的痕跡からも、この時代の文書史料からも、紀

    考古学と突き合わされるアブラハムとモーセ 長谷川『聖書考古学』#2 - オシテオサレテ
  • 聖書とモノに語らせる 長谷川『聖書考古学』#1 - オシテオサレテ

    聖書考古学 - 遺跡が語る史実 (中公新書) 作者: 長谷川修一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/02/22メディア: 新書購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (21件) を見る 長谷川修一『聖書考古学 遺跡が語る史実』中公新書、2013年、3–63ページ。 歴史学の文書資料の批判の基と、考古学の遺物・遺構(その他)の批判の基をともに教えてくれるすばらしい新書が出されました。書物の表題でもある「聖書考古学」を著者は「聖書の歴史記述の深い理解に達するため、特に聖書の舞台となった古代パレスチナを中心とした考古学」と規定します。これを行うために必要となるのが、聖書という文字史料にも、考古学的遺物・遺構というモノにも批判的まなざしを向けることです。聖書を批判的に読むとはどういうことか。これが第1章で見事に例解されています。列王記にある「神の律法に従わなかった

    聖書とモノに語らせる 長谷川『聖書考古学』#1 - オシテオサレテ
  • 出版者と学術書の運命 - オシテオサレテ

    Picturing the Book of Nature: Image, Text, and Argument in Sixteenth-Century Human Anatomy and Medical Botany 作者: Sachiko Kusukawa出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2012/05/21メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 195回この商品を含むブログ (19件) を見る Sachiko Kusukawa, Picturing the Book of Nature: Image, Text, and Argument in Sixteenth-Century Human Anatomy and Medical Botany (Chicago: Chicago University Press, 2012), 48–61.

    出版者と学術書の運命 - オシテオサレテ
  • 「広島は逃げるように立ち去るべし」 江田島海軍兵学校と原子爆弾 - オシテオサレテ

    典昭『福祉行政最前線』高輪印刷株式会社、1990年。 http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I025774932-00 13日に亡くなった私の祖父は、いくつかの書物を自費出版しています。そのうちの一つは、市役所での仕事を中心にした自分史のようなものになっています。これは老齢に達した人がよく書くジャンルではないでしょうか。そのの冒頭部に、1945年8月6日以降に関する記述があったので、ここに抜き書きしておきます。私には興味深い証言に思えました。この時、坂典昭は江田島の海軍兵学校にいました。 そして、運命の日、あの悪魔の火の爆発が8月6日午前8時15分、広島で爆発いたします。 江田島の生徒館の中庭で体操を終わり、直立していた小生、ピカッとマグネシュウムを焚いたような閃光と、熱風の風圧を首に受けて思わず首筋に手をやります。 ガラガラと生徒館の雨樋が崩

    「広島は逃げるように立ち去るべし」 江田島海軍兵学校と原子爆弾 - オシテオサレテ
  • 『エヌマ・エリシュ』からパルメニデスへ ヴェルナン「神話から理性へ」 - オシテオサレテ

    叢書『アナール 1929-2010 歴史の対象と方法』 2 〔1946-1957〕 作者: E・ル=ロワ=ラデュリ,A・ビュルギエール,浜名優美,平澤勝行,池田祥英,井上櫻子,北垣潔,塚島真実出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2011/06/22メディア: 単行 クリック: 12回この商品を含むブログ (1件) を見る ジャン=ピエール・ヴェルナン「神話から理性へ アルカイック期ギリシャにおける実証的思考の形成」塚島真実訳『叢書「アナール」1929–2010 歴史の対象と方法 II』藤原書店、2011年、335–365ページ。 イオニア自然学の宇宙論とは、それ以前の神話的宇宙創成の物語を、非宗教的な形式で説明しようという試みでした。たとえば『エヌマ・エリシュ』に見られるバビロニアの神話・祭儀では、神の力を持つ王が自然と社会の双方の秩序創始者として語られていました。そこでは不定形のもの

    『エヌマ・エリシュ』からパルメニデスへ ヴェルナン「神話から理性へ」 - オシテオサレテ
  • 初期近代の図版製作 - オシテオサレテ

    Picturing the Book of Nature: Image, Text, and Argument in Sixteenth-Century Human Anatomy and Medical Botany 作者: Sachiko Kusukawa出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2012/05/21メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 195回この商品を含むブログ (19件) を見る Sachiko Kusukawa, Picturing the Book of Nature: Image, Text, and Argument in Sixteenth-Century Human Anatomy and Medical Botany (Chicago: Chicago University Press, 2012), 28–47.

    初期近代の図版製作 - オシテオサレテ
  • 初期近代の哲学における中国文化 - オシテオサレテ

    The Cambridge History of Seventeenth-Century Philosophy 2 Volume Paperback Set 作者: Daniel Garber,Michael Ayers出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2003/05/05メディア: ペーパーバック クリック: 14回この商品を含むブログ (1件) を見る D. E. Mungello, "European Philosophical Responses to Non-European Culture: China," in The Cambridge History of Seventeenth-century Philosophy, ed. Danial Garber and Michael Ayers (Cambridge: Cambr

    初期近代の哲学における中国文化 - オシテオサレテ
  • 校正する娘たち - オシテオサレテ

    The Culture of Correction in Renaissance Europe (Panizzi Lectures) 作者: Anthony Grafton出版社/メーカー: British Library Board発売日: 2012/02/01メディア: ハードカバー クリック: 13回この商品を含むブログを見る Anthony Grafton, The Culture of Correction in Renaissance Europe (London: British Library, 2011), 1–77. 15世紀半ばから17世紀終わりまでの校正者たちを扱った著作です。グラフトンの博識とユーモアがいかんなく発揮された傑作だと思います。とにかく引かれる話がいちいち面白い。 何気にcorrectorという英語に校正者という単語をあててしまいました。しかし実際に当

    校正する娘たち - オシテオサレテ
  • アリストテレスの再編集 - オシテオサレテ

    Greeks and Latins in Renaissance Italy: Studies on Humanism and Philosophy in the 15th Century (Variorum Collected Studies) 作者: John Monfasani出版社/メーカー: Routledge発売日: 2004/09/17メディア: ハードカバー クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見るNatural Particulars: Nature and the Disciplines in Renaissance Europe (Dibner Institute Studies in the History of Science and Technology) 作者: Anthony Grafton,Nancy G. Siraisi,George E.

    アリストテレスの再編集 - オシテオサレテ
  • 誰がどのように『国家』を読むのか 納富「近代日本におけるプラトン『ポリテイア』の受容(上)」 - オシテオサレテ

    誰かが(あるいは何らかの集団が)ある書物を読むとき、そこに記されている内容を自らの利害関心に照らし合わせて選択的に受容するということが常に行われます。読書という営みに伴うこの過程は、時として選択的受容という言葉で表現できる事態を超えて、オリジナルの誤読ないしは歪曲といった現象を招くことになります。しかし逆に言えば、このような歪みにこそ読書する人間の側の関心のあり方が鮮明に現れると言えます。 数あるギリシア哲学の古典のなかで、自らの関心を投影することを読者に誘うは何か。その筆頭に来るのはプラトンの『国家』でしょう。ギリシア語で「ポリテイア」、つまり「国(都市国家)のあり方」と題されたこのでは、哲人政治、身分制、財産の共有、教育といった論点が、イデア論、霊魂論とともに議論されています。まさに選択的読みを誘発する構造です。 納富信留「近代日におけるプラトン『ポリテイア』の受容(上)」『思想

    誰がどのように『国家』を読むのか 納富「近代日本におけるプラトン『ポリテイア』の受容(上)」 - オシテオサレテ
    funaki_naoto
    funaki_naoto 2011/02/02
    「ポリテイアという言葉の原義に最も適合しているのは「国体」という訳語です」
  • 明治、大正、昭和時代の映像(YouTubeより) - オシテオサレテ

    YouTubeで見ることのできる動画の中から、日の明治、大正、昭和時代に関係する映像を集めました。興味のあるものがあればどうぞ。 明治 明治時代 1897年から1901年ごろの日の風景。東京、京都、名古屋、神戸港、新橋駅、銀座、横浜。人力車が走っています。音なし。 明治 - 外国人が見た日 イギリス駐日公使、ラザフォード・オールコック、『大君の都』より。 このよく耕された谷間の道で、人びとが、幸せに満ちた良い暮らしをしているのをみると、これが圧政に苦しみ、過酷な税金をとりたてられて苦しんでいる場所だとはとても信じられない。 ヨーロッパにはこんなに幸福で暮らし向きのよい農民はいないし、またこれほど穏やかで実りの多い土地もないと思う。 大正 即位の大礼(大正天皇) 24秒だけ。 大正8年(1919年)東京 こちらも19秒だけ。日橋の風景など。 大正10年、皇太子殿下訪英 プリンス裕仁の

    明治、大正、昭和時代の映像(YouTubeより) - オシテオサレテ