日本人は、外国語の文字である漢字で日本語を書くようになったが、その実践には様々な 試行錯誤が必要であった。その過程を示すキーワードが「飼い慣らし」と「鋳直し」である。 漢字が飼い慣らされた結果、平仮名と片仮名が生まれた。本書はその過程にも言及している。 本書は筆者の最近の研究のダイジェスト版であり、全十章の本文、補説、付録、の三部からなる。 このうち、第七章~第九章と補説は既出原稿の改訂版であり、付録は既出記事の再録である。 第一章と第十章は、いわば「序論」と「終論」のような関係にあり、本書全体の趣旨が 述べられている。 第二章~第六章は、漢字の受容から飼い慣らし・鋳直しまでの歴史的過程を整理した ものである。分かりやすい解説なので、スラスラと読み進めることができる。 第七章~第九章は学術書の要約版であり、著者の研究成果が述べられている。 補説は研究資料や研究方法について述べたものである。