日本発祥の楽器の一つでもある「大正琴」は名古屋で発明された。その名の通りに大正元(1912)年に名古屋・大須出身の音楽研究家・森田吾郎がタイプライターをヒントに考案。今年は森田が生誕して150年の節目にあたる。主に高齢者が愛好しているイメージが強いが、若手の演奏者も多い。 ○…森田吾郎は大正琴以外にさまざまな楽器を発明した。「陽琴」「金剛琴」「ムーンライト」が代表作で、いずれも岐阜県恵那市の日本大正村などが所蔵している。ムーンライトは1931(昭和6)年ごろに考案され、月琴に似たデザインとなっている。弦楽器がほとんどだったようだが、カスタネット系の打楽器にも取り組み、チューリップを模した「チューリップ・キャスタネット」も発明した。金子敦子名古屋芸術大元教授は「森田吾郎はアイデアマン数々の楽器を発明したが、大正琴以外は残念ながらに広く普及はしなかった」としている。