落合淳思『甲骨文字小字典』(筑摩選書、2011年2月) 『甲骨文字の読み方』等でお馴染みの落合氏による甲骨文字の字典ということでチェックしてみましたが、小学校段階での教育漢字約300字に絞ったということで、白川静『常用字解』とコンセプトが似通っちゃったのが何とも残念です。思い切って現在ではそれほど使われていないが、甲骨文では頻用されている文字とか、現在では存在しない文字をドシドシ取り入れた方が、『常用字解』と差別化する意味でも、甲骨文の世界観を示すという意味でも良かったのではないかと思います。 本書では各文字ごとにその文字の成り立ち(すなわち字源)と、甲骨文中での意味・使われ方とがそれぞれ説明されており、必ず甲骨文の例文が付されているのが評価できます。字源の部分では随分と白川静の説が批判されていますが、例えば「曲」字の項(本書307頁)で「加藤・白川は竹などを曲げて作った器とし、藤堂は曲が
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