会津地方は創業年として寛永年間にも遡る歴史ある酒造家が多く、また近世後期には会津藩家老・田中玄宰による藩財政再建策の一環として、藩直営の酒造蔵にて銘酒「清美川」が醸造されるなど、酒は重要な産品の一つでもありました。 近世会津の名物の番付である『若松緑高名五幅対』には、「酒座」「酒造」「名酒」の項目も見られます。そうした老舗蔵元のいくつかは地域の神社の神酒を醸造する酒蔵でもあり、元来、酒は神に供える重要な神饌でもありました。 福島県域は神社の例大祭などの際に神饌としてどぶろくを醸して供え、参拝客へふるまうなどいわゆる「どぶろく祭り」の多い地であることが特筆されます。酒造免許を有する神社は東北6県で唯一、福島県にのみ10社と多数を数えます。 また、酒造家はそれぞれの土地を象徴する存在でもあり、酒造家を中心とした文化的サロンが形成されるなど新たな文化を創造し、地域の文化を向上させる役割も果たして