私たちの宇宙には「反物質」はほとんどありませんが、その理由はよく分かっていません。この謎を解決するために、反物質の性質を測定し、物質と比較する実験が行われていますが、精密な測定をするには課題がいくつもあります。 欧州原子核研究機構(CERN)の国際研究チーム「BASEコラボレーション」は、これまでで最も効率的な反陽子冷却装置“マクスウェルの悪魔二重冷却トラップ(Maxwell’s daemon cooling double trap)”を開発しました(※1)。この装置は、従来の100分の1以下の時間で反陽子を冷却することができるため、反陽子の性質の測定回数を増やすことができます。これにより、反陽子の性質をより正確に測定できることになります。 ※1…マクスウェルの悪魔(Maxwell’s daemon)とは、物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが提唱した思考実験です。本題から逸れるため