音楽批評家の小沼純一氏による、対話形式で書かれたバッハとその作品「ゴルトベルク変奏曲」についてのエッセイ。全部で30ある変奏全てについてあれこれ書かれていたのは面白かった。 ゴルトベルク変奏曲と言われてもすぐにピンと来ない方もいるだろうが、この曲は割と人気曲で、映画などにもちょくちょく出てくる。とくに有名なのは冒頭部分のアリア(と、ゴルトベルクに新たな解釈を加えたグレン・グールド)。 バッハの生きた時代背景をいろいろと探りながら、バロック音楽とは何だったのかを語った下りが大変興味深かった。 バッハの生きていた時代に書かれた幾つかの思想・文学作品を見てみると、おもしろいことがわかる。恣意的だけれど、こういったものを挙げておこう── 1667年 ミルトン『失楽園』 1675年 スピノザ『エチカ』(完成はさせるが、すぐに出版はしない) 1719年 デフォー『ロビンソン・クルーソー』 1726年