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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/asteion (4)

  • 建築に関心が薄かった日本人、変化が起こった原因は「壊しすぎ」にある

    <つい40年前まで建築物の保存に関心がなかった。それがなぜ今、私たちは建築物とその保存に関心を持つようになったのか。『アステイオン』97号より「建築への関心の高まり」転載> 建築への関心が、近年、高まってきているように見受けられる。ちゃんとした美術館が充実した建築展を開くようになったし、一般の雑誌や新聞にも建築探訪の記事がしばしば載る。 戦後、長い間、建築界は、一般の人の建築への関心の薄さに悩まされてきた、というと正確ではなく、一般の人が建築に無関心なことを気にかけずに済ませてきた。 そのことが典型的に現れたのは55年前の〈旧帝国ホテル〉の取り壊しの時で、建築界のとりわけ私より一世代前の建築史関係者は保存を訴え、アメリカの建築界からの声も届き、政界もそこそこ関心を持ってくれたらしいが、市民のバックアップは弱かったと先輩から聞いた。 しかるべきインテリから「ライトってほんとに世界的な建築家な

    建築に関心が薄かった日本人、変化が起こった原因は「壊しすぎ」にある
  • なぜ日本の「国語の教科書」に外国文学作品が載っているのか?

    <日文学作品以上に「国民的」な読み物として世代を超えて人々の記憶に刻まれつづけてきた、外国文学作品と国語の教科書の歴史について> すべては翻訳だった? 維新後、欧米に伍することを目指した明治政府はそれを模した教育制度を整えようとした。そのため使われた教科書も、当初は外国の教科書をかなりの程度直訳した翻訳教科書だった。 国語教育もその例に漏れず、大きなウェイトを占めていた「読」もアメリカのリーダーを翻訳したものが広く普及していた。つまり、もとをただせば私たちの「国語」とは翻訳という型によって決められたという面が多々あるということだ。 また、英語の教も初期は外国のリーダーがそのまま用いられた。そうして見ると、国語と英語、まったくちがうものというわけではなく、西洋に接触した日が、近代化のために導入した言語科目だったとも言える。 なお(あまり指摘されないことだが)国語と英語では過去、同じ(

    なぜ日本の「国語の教科書」に外国文学作品が載っているのか?
  • 小津安二郎の大伯父にして本居宣長の孫弟子、小津久足とは何者か?...江戸時代後期に実在したグローバルな「大知識人」を追って

    資料が大量に残る江戸時代を研究するには、まず一次資料の山に分け入り、書かれていることを正確に読みとって、そこから導き出される事実をコツコツと積み重ねて結論を出すという過程を経る。誰も見ていない資料を見て、誰もいっていないことをいう資料実証は、文献学的手法にもとづく古典学の醍醐味である。 中村幸彦は、江戸時代のことはなんでもわかります、といった。これは自分はなんでも知っているということではなく、正しい手続きで時間をかけて調べれば、江戸時代のことは大抵わかるという意味である。 一方、読書においては、資料や資料実証の論文にかぎって禁欲的に読む、ということはもちろんなく、専門外の専門書、あるいはもうすこしゆるやかに人文書というカテゴリーのを好んで読んできた。 そしていつしか、人文学という枠組みで思考し、表現したいと考えるようになってきた。方法論はあくまで実証に拠りながら、出入り口を日近世文学に

    小津安二郎の大伯父にして本居宣長の孫弟子、小津久足とは何者か?...江戸時代後期に実在したグローバルな「大知識人」を追って
  • ロシア語とウクライナ語の間に明確な地理的境界線は存在しない──ウクライナ・アイデンティティ(上)

    ウクライナ人にとってロシア語とは何か。ロシアがクリミアを併合した2014年の『アステイオン』81号の論考「ウクライナ・アイデンティティ――その多様性と雑種性(ハイブリディティ)」を3回に分けて全文転載する。> キエフの親ヨーロッパ派の抗議活動(ユーロマイダン運動)、ロシアによるクリミア併合、そしてドンバス地方(ドネツク、ルガンスク両洲)東部で続く戦争によって、ウクライナという国そのもの、そしてその対ロ関係、内部分裂やアイデンティティのあり方は、世界から注目を集めることになった。 国際メディアや世界の学界の言説では、ウクライナロシアと西側諸国との単なる戦場として描かれている。 だが、そのようにウクライナを描くと、ウクライナの現在の状況をもたらしたウクライナ自身の歴史への考え方を無視することになり、ヨーロッパで現在起こっている暴力的危機の複雑さを深く分析することが出来なくなってしまう。 ソ

    ロシア語とウクライナ語の間に明確な地理的境界線は存在しない──ウクライナ・アイデンティティ(上)
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