ウォルター・J. オングの『声の文化と文字の文化』について「『声の文化と文字の文化』ウォルター・J. オング」「読み書き能力と状況依存的思考 A・R・ルリアの調査から」というエントリを立てましたが、書こうと思っていて忘れていたことを補足します。 一つは、ルリアの報告にあった、以下の個所についてです。 対照的に、たった二年間だが村の学校で勉強したことのある十八歳の少年は、おなじように組になった絵を見せられると、それをカテゴリー別に分類しただけでなく、その分類にけちがつくと、自分の分類の正しさに固執した。(強調引用者) 読み書き能力がない人々がカテゴリー的思考を受け付けない「頑固さ」については、本書を読めば自明ですが、一方で能力を身につけてしまった側も、カテゴリー的思考に固執し、かつ自分の「カテゴリーの分け方」に執着を示す、ということは注目に値します。 つまり、一旦カテゴリー的思考を習得してし