中小企業の借金の返済を最長3年猶予する――。亀井静香金融相が発案した「モラトリアム」を現場の経営者はもろ手を上げて歓迎しているのか。町工場が集まる東京都大田区で聞いた。原案は9日午後、大臣に報告される。 ◇ 住宅と町工場が混在する大田区矢口。8日午後、歯車部品工場を妻と2人で営む浜崎製作所の浜崎規(ただし)社長(47)は作業の手を休めて「支払い猶予は反対。僕自身は使わない」といった。 中小企業を救おうという亀井氏の発想自体はありがたい。ただ、支払いが猶予されても、結局いずれは支払わなければならない。猶予を受けたことで金融機関の審査が厳しくなり、新規融資が受けられなくなるのであれば元も子もない。一生懸命辛抱してきたという意地もある。 今年後半分からは注文が戻ってきている。いまは円高の方が怖い。政府に望むのは為替の安定とともに環境部門での新産業育成だ。「町工場が技術力で世界をリ