「若い板前がまな板の上で暴れまわる鯛を裁こうとして四苦八苦している。板前はこの鯛を豪華な刺身盛り合わせにしたいと考えているが残り時間は10分しかない。」このような状況を,作家の夢枕獏のような文体で表現してください。 その結果がこれ↓ 夢枕獏という感じではないが、こんな文体もいけるのかよという衝撃。 青涼たるまな板の上にて、若き板前は荒びたる鯛と舞を踏む。鯛は荒びゆく波を秘めたるかのように、その姿をくねらせ、暴れまわりんことを止まざるを得ず。板前の手は一刻の猶予も許さんかの如く、四方八方へと舞い散り、苦悩の色を秘めてせり。優美なる刺身の盛り合わせを心に抱きつつ、時の砂は流れ行く。あと十分、そうわずかばかりの時が流れるのみ。果たして、青年はこの荒びたる鯛を、舌鼓を打つべき豪奢なる膳に変えられんや、それとも鯛の波涛にのみ舞い踊りし苦闘の姿となるや。其の結末、漂泊の時が告げるものと見よ。