『会田誠展:天才でごめんなさい』は森美術館が企画立案した会田誠売り出しのイベントだろうから、とやかく言うつもりはない。会田氏は芸術をビシネスにすることをしきりに照れているけれど、「エロ・グロ」も「画壇への反抗」もビジネス上の戦略だったわけだし、それはそれなりに成功して、《あぜ道》が中学の美術の教科書に掲載されるまでになった。しかし、同じ理由でメジャーにもなれない。 このジレンマを逃れるために今回のイベントがある。具体的にどんな戦略なのか仔細はわからないが、会田誠がカイカイキキに近づいているのもその一環だろう。まあ、そんなことは余計なお世話だろうから、以前からなんとなく感じていたことだが、この展覧会ではっきりしたことがある。それは会田誠はじつは絵がわからないのではないかという疑いだ。 会田誠は確かに絵が上手い。展覧会のサブタイトルに「天才でごめんなさい」と言っているのだから、それがギャグにな