久々の新刊でほくほく。とは言え、角ホラの泰三短編集は微妙にユルいのがお約束であって、今回もご多分に漏れず。それほどの出来じゃないと感じる収録作もあって、「影の国」とか「タルトはいかが?」あたりについてはそんな感じ。 でもやはり好きなのはすごく好きだ。例えば表題作。自由意志の存在について悩む少年がおぞましい真実に行き当たるお話はいつも通りながら、脇の無意味なグロ描写のレパートリーの多さには感心する。人口脳髄のアップデート時にはオムツを着けていく風習だとか、その時にあたって仮死状態になった人間の様子だとかが実に気持ち悪くて美味。 他、「C市」のクトゥルフネタをいじくり回しすぎて原形を留めてない筋立ての得体の知れなさや、「綺麗な子」の“綺麗な子”を求める心理のグロテスクな描き方なんかも好き。ショートショートものでは「停留所まで」が泰三流怪談として質が良く、「アルデバランから来た男」の「ムッシュム
暗示使いで名前が都……ってこれは一体どこの『ミヤコ・アーカイブ』ですか。ミヤコ・アーカイブはステッパーズ・ストップのページ最下部の方に置いてあるのでみんな読めばいいと思います。とても面白い形而上バトルものです。シンヤも出るよ! えーと、例によってコバルト文庫はリリカル・ミステリーの第三弾。ラスト付近まで大きな事件が起こらないため、展開としては少し大人しい印象。けれど蓋を開けてみると、中身はやっぱり相変わらずのリリカル・ミステリーです。お話の構造としてはストーリーを牽引する謎がくるくると入れ替わる『春待ちの姫君たち』よりも、中盤まで静かな情景を重ねて終盤で一気に回収する『白い花の舞い散る時間』に近いものでした。 冒頭で主人公の都さんが「言葉の威力」について一説ぶちますけれど、クライマックスの夜の会話がこれを証明してますね。いわゆる言霊とはちょっと違う、迫真というよりも技巧的な言語表現。『春待
春待ちの姫君たち―リリカル・ミステリー (コバルト文庫) 作者: 友桐夏,水上カオリ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/11メディア: 文庫 クリック: 15回この商品を含むブログ (79件) を見る これは物語を作り、物語を消費する物語です。 友桐夏さんの「リリカル・ミステリー 春待ちの姫君たち」 春待ちの姫君たち―リリカル・ミステリー (コバルト文庫) 作者: 友桐夏,水上カオリ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/11メディア: 文庫 クリック: 15回この商品を含むブログ (79件) を見る について「物語消費」だの「ゲーム的リアリズム」だのダラダラ書きます。ネタバレありです。 続きを読む
はてなグループの終了日を2020年1月31日(金)に決定しました 以下のエントリの通り、今年末を目処にはてなグループを終了予定である旨をお知らせしておりました。 2019年末を目処に、はてなグループの提供を終了する予定です - はてなグループ日記 このたび、正式に終了日を決定いたしましたので、以下の通りご確認ください。 終了日: 2020年1月31日(金) エクスポート希望申請期限:2020年1月31日(金) 終了日以降は、はてなグループの閲覧および投稿は行えません。日記のエクスポートが必要な方は以下の記事にしたがって手続きをしてください。 はてなグループに投稿された日記データのエクスポートについて - はてなグループ日記 ご利用のみなさまにはご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。 2020-06-25 追記 はてなグループ日記のエクスポートデータは2020年2月28
親友との強い絆を確信していた中二の春。 そんなふたりの間に入ろうとした舞を拒んだことで、クラス全員が敵に回った。 あからさまな無視。時に使われていない教室に閉じ込められる。 赤音はそれでも耐えられた。 たったひとりではあったけれど自分のそばにいてくれる人がいたから。 だが、それのことに気づいた舞はふたりを引き裂こうとして……。 いきなりやられました。まさかこんな序盤でやられるなんて……。 いわゆる単純なイジメ問題かと思ってたら、突きつけられる衝撃の事実。 油断してました。 そこから先はもう雰囲気に飲み込まれっぱなし。 暗く、衝撃の第一幕。 復讐の第二幕。 対決とまさかの第三幕。 読み進めるにつれて、少女たちの心の動きが、叫びが聞こえる。 不安が物語を包み、入り組んだ展開が衝撃を大きくさせる。 予想出来ないわけではない。 それでもゾクゾクしながら読みふけってしまいま
『白い花の舞い散る時間』で大いにはっちゃけた友桐夏さんの、デビュー後初の新作。 前作のアレは何度も使えそうにないネタだったので「最初一回だけの奇跡だったらどうしよう」という思いもないではありませんでしたけど、余計な心配でした。前作はインパクトが先行しちゃいましたけど、基本的には基礎能力と経験の下地が既にしっかり存在する人なのだと思います。 多少オカルト要素も混じってましたけど、前作とは違った意味でちゃんと「リリカル・ミステリー」していたことには驚きました。お話の展開がミステリーとして普通に素晴らしいです。物語が読者の興味を惹くには「事件を捜査して真相を暴く」とか「魔王を倒して世界を救う」といった基本的な軸が必要なわけですけど、本作ではこの軸がひとつの方向に固定されていません。展開が進むにつれて、滑らかに動きながらどんどん別の方向に向いていくのです。ここでは本来なら大オチ級の真相さえ予想外に
春待ちの姫君たち―リリカル・ミステリー (コバルト文庫) 作者: 友桐夏,水上カオリ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/11メディア: 文庫 クリック: 15回この商品を含むブログ (79件) を見る困った。感想が書けない。これほど感想が書きにくい小説は『白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)』以来だ。あのときは「感想の書きにくさ」をネタにしたのだが……まあ、今回はもうちょっと真面目に感想を書くことにしよう。 未読の人に少しヒントを与えることになるかもしれないので、ご注意ください。 『白い花の舞い散る時間』は、パッケージと内容(特に中盤以降の展開)とのギャップで話題になったが、2作目ともなると、いくらタイトルがメルヘンチックでもイラストが綺麗でも、読者は身構えて読むだろうから、同じ効果は期待できまい。ではいったいどう仕掛けてくるのだろう? 実際に読み始める前に考えていたのは、だい
※作者名でGoogle検索したらなんか最上位に来てて驚きました。かなりネタバレ全開なので、こんなに目立ってしまうのは凄くよくないことだと思いますが、Google先生のやることなのでどうにもなりません。未読の方はくれぐれもお気をつけください。(2007/4/10追記) コバルトの新人がとんでもないものを書いてしまったということで、一部の読書サイトでは結構な騒ぎ*1になったこの作品。物語全体を狂わせる異常な試みの上に成り立った本書に言及しようとする人は、それがネタばれにならないよう随分と苦労していたように思います。"何を書いてもネタばれになってしまう"という言い方がしばしばされますけど、本書はまさにその典型のような作品でした。 面白さがそのままネタばれに繋がるという性質上、本書の異常さを直接的に説明している感想は有名どころでは見つけることができませんでした。そのため、噂を聞きつけて本書に手を伸
友桐夏さんの『白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)』を読了。 同じ塾に通う顔も名前も知らないチャット仲間、アイリス、シャドウ、ララ、ミスティー、そしてミズキの5人。彼女たちはアイリスの提案で5日間のオフ会を開くことになった。しかし、会場である人里離れた洋館に現れたのは4人だけ。しかも、匿名性を保つためHNとは別の偽名を名乗っているため、誰が来ていて誰が来ていないのかわからなかった。 これは難しい作品ですね。紹介が。どこまで書いていいものやら。 少なくとも「すごい作品を読んだ」と僕は思っています。 ちょっと「ネタバレ」と思う方もいるかもしれないので、この続きを読む方は覚悟してください。先入観を持たないで読まれるほうがいい作品だと思いますので。 白い花の舞い散る時間友桐 夏〔著〕 集英社 (2005.9) オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 【感想拝見】 どこまで行ったらお茶の時間さま(
リスト::舞台探訪(博物士) 漫画/小説/アニメ/ゲームなど架空の物語に登場する舞台を訪ねてまわる記事を収集したものです。 『ローゼンメイデン』第1期第1話をアニメイトTVにて配信! 9月30日までの無料放送です。 『クドリャフカの順番 「十文字」事件』米澤穂信[角川書店]【 Amazon 】 ほんとにね。面白いもの描くひと、いっぱいいるよね。 はじめに これは文化祭の物語です。文化系部活が盛んなことで知られるという神山高校の文化祭3日間を過ごす4人の古典部員たちの話であり、その期間に古典部の文集を売るために彼らがいかなる活躍をしたのかがつづられた話になっています。 沿革 『クドリャフカの順番』は古典部シリーズの3作目にあたります。いきなり本作を読むことも出来ますが、可能であれば1作目から順番に読んだほうが良いかと思います。なぜかというと、このシリーズはそれぞれ独立した話になってはいますが
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