タグ

ブックマーク / trivial.hatenadiary.jp (10)

  • 蛯沢真冬 15歳の記憶 - 一本足の蛸

    さよならピアノソナタ (電撃文庫) 作者: 杉井光,植田亮出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2007/11メディア: 文庫購入: 22人 クリック: 295回この商品を含むブログ (228件) を見る書のヒロインである蛯沢真冬は高校一年生の女の子*1で、ピアニストでバッハ弾きだ。現代においてピアニストであり、かつ、バッハ弾きでもあるということは、ある種の緊張状態におかれている*2のだが、そっち方面の微妙な問題を匂わせる記述は見あたらない。 では、なぜ真冬はバッハ弾きなのか? (以下、作品の内容に触れます。未読の人の興をそぐ恐れがあるため、まだ『さよならピアノソナタ』を読んでいない人は決してこの先を読まないようにしてください) 真冬がバッハ弾きである理由、それは極めて技巧的でパズル的構成をもつ*3『さよならピアノソナタ』という作品のプロットに寄与するためだ。既に了解済み*4のこ

    蛯沢真冬 15歳の記憶 - 一本足の蛸
    genesis
    genesis 2007/11/26
    曰く,「きっと、バッハファンでもなければクラシック音楽ファンでもない大多数の読者にとっても、どうだっていいことだろう。しかし...」 ◆ わたし,気になります。
  • 米澤穂信と「探偵の敗北」 - 一本足の蛸

    雲上四季 - 米澤穂信の話|青春ミステリの条件と古典部シリーズを読んで思いついたこと。 米澤穂信の小説に登場する探偵役は謎に勝って女に負ける。 どういうことか。 まず、基的に米澤作品の探偵役は謎解きに失敗しないということ。『愚者のエンドロール (角川文庫)』の途中経過をみるとちょっと微妙だけど、あくまでも「基的に」なので目くじらを立てないでほしい。探偵役は提示された謎を楽々とクリアしている。 で、探偵役の自意識は肥大し、全能感に酔いしれ、かなりアレな状態になっているところを、ヒロインまたは準ヒロインの女性にガツンとやられてへなへなになってしまう。これが米澤作品における「探偵の敗北」だ。 もちろん、この構図にあてはまらない作品もある。たとえば、「Do you love me?」とか「11人のサト」とか。どちらも主人公は女性だし、後者はミステリですらない*1。だが、例外にこだわっていては先

    米澤穂信と「探偵の敗北」 - 一本足の蛸
    genesis
    genesis 2007/10/10
    曰く,「米澤穂信の小説に登場する探偵役は謎に勝って女に負ける。」
  • 高度に発達したメイドさんは名探偵と区別がつかない - 一本足の蛸

    めいたん メイドVS名探偵 (ガガガ文庫) 作者: 樺薫,赤賀博隆出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/08/17メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 50回この商品を含むブログ (31件) を見る創刊前には同業他社を大いに震え上がらせたらしいガガガ文庫*1も今ではすっかり色物レーベル認定されてしまった。そのガガガ文庫の今月の新刊『めいたん』は副題が『メイドVS名探偵』となっていて、色物スキーにはそれだけでもたまらない。事件を暴こうとする名探偵とそれを阻止しようとするメイドの対決なんて、よくそんな設定を考えたものだ。 で、発売前から大いに期待していて、が出るとすぐに買ったのだが、先に『妹は絶対君主なお嬢様 (美少女文庫)』を読んでいるうちに夏バテになってが読めなくなって、結局、1週間遅れでさきほど読み終えた。 読後感を一言でいえば、『シャーロック・ホームズ対オカルト怪人―あ

    高度に発達したメイドさんは名探偵と区別がつかない - 一本足の蛸
    genesis
    genesis 2007/08/27
    曰く,「……全然対決していないよ。」
  • 遅れてきた78年組 - 一本足の蛸

    神様のメモ帳 (電撃文庫) 作者: 杉井光,岸田メル出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2007/01/06メディア: 文庫購入: 19人 クリック: 1,791回この商品を含むブログ (251件) を見る浦賀和宏、乙一、滝竜彦、米澤穂信(50音順)など1978年生まれの作家たちを、「78年組」と呼ぶことがある。確か、かつて「新青春チャンネル78〜」だったサイトで提唱された用語だと記憶しているが、記憶違いかもしれない。また、1978年前後に生まれた作家も含むことがあるので、誰が78年組に含まれるのかについて共通の了解が成立しているわけではない。とりあえず、今のところは仮に「78年組」は上記4人を指すものとしておこう。 さて、78年組の作家たちは、個々の作風や活動ジャンルなどの違いにかかわらず、ある雰囲気を共有しているように思われる。それを言葉で表すのは難しいのだが、強いて一語で

    遅れてきた78年組 - 一本足の蛸
    genesis
    genesis 2007/01/22
    曰く,「78年組の作家たちは、個々の作風や活動ジャンルなどの違いにかかわらず、ある雰囲気を共有しているように思われる」,「強いて一語で言い表すなら「閉塞感」または「無力感」ということになるだろう。」
  • 一本足の蛸 :: 『ある日、爆弾がおちてきて』 既視感

    ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫) 作者: 古橋秀之,緋賀ゆかり出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2005/10メディア: 文庫購入: 23人 クリック: 230回この商品を含むブログ (355件) を見るこのライトノベルでは珍しいノンシリーズ短篇集だ。ライトノベルは基的にキャラクター重視なので、一作ごとにキャラクターを使い捨てる短篇集はなかなか出版されることがない。出るとすれば、よほど水準が高い粒ぞろいの作品が揃っているか、それとも作者の名前だけで確実に売れる見込みがあるかのどちらかだろう。古橋秀之は作家歴は長いものの、失礼ながら、レーベルの看板作家とは思えない。ということは、内容で評価されたということだろう。その意味では、昨年出た『眠り姫 (富士見ファンタジア文庫)』に似ている。*1 古橋秀之の作品を読むのはこれが初めてだったのだが、そういうわけで非常に期待しつつ

    一本足の蛸 :: 『ある日、爆弾がおちてきて』 既視感
    genesis
    genesis 2006/04/09
    曰く,「面白かった」,「何から何まで既視感に満ちていた」「ここまでくると、〈ありきたり〉というネガティヴな言葉は適切ではない。様式美の極致というべきだろう。」
  • 一本足の蛸 :: ネコ耳ってどんなこと? ― とっても萌えたいケモノ耳入門

    巻頭言−あるネコ耳スキーの魂の叫びより− 世にある獣耳系の小説は、その魅力をきちんと書き表していないと思うのです。耳・尻尾がついてるついていないが、イラストでしかわからないような作品ばかり! 尻尾はふさふさしてなんぼだと思うのですよ。 はじめに この文章は、ネコ耳、または一般にケモノ耳と総称される萌え要素についての一人のネコ耳スキーへの質疑応答集である。見出しがちょっとアレだが、この事情については後述する。 質疑は次の2つの記事を前提として行ったので、読者は事前に予習をしておくことが望ましい。前者については、コメント欄も参照のこと。 認知科学徒GPY - What is it like to be with Nekomimis? (ネコミミであるとはどういうことか?) 博物士 - KemonoMix 件のケモノ耳スキー氏の実名は人のプライバシー保護のため*1伏せることとし、ここでは人の

    一本足の蛸 :: ネコ耳ってどんなこと? ― とっても萌えたいケモノ耳入門
    genesis
    genesis 2006/03/20
    ケモノ耳の含意=属性スイッチ論。
  • 神栖麗奈此中ニ有リ - 一本足の蛸

    神栖麗奈は此処にいる (電撃文庫) 作者: 御影瑛路出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2005/12メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 50回この商品を含むブログ (69件) を見るミカン箱の山に埋もれた『神栖麗奈は此処にいる』を救出したので、早速読んでみた。面白かった。 この小説の面白さはミニマルミュージックのそれに似ている。同じパターンが少しずつ変形されながら何度も反復されていく面白さだ。 まず「一章 斉藤楓未」で神栖麗奈を巡る物語のパターンが提示される。次の「二章 木檜篤志」ではそのパターンが反復・強化される。語り手の性別も背景も抱えている問題も異なるが、ストーリーの骨組みだけを見れば一章と二章はほとんど同じように見える。 実は既に二章にパターンからの逸脱が仕組まれているのだが、その逸脱が明らかになるのは「四章 豊科和亮」、具体的にいえば266ページ7行目のことなの

    神栖麗奈此中ニ有リ - 一本足の蛸
    genesis
    genesis 2006/01/10
    『神栖麗奈は此処にいる』のレビュー。関連) http://d.hatena.ne.jp/trivial/20060110/1136901362 「神栖麗奈の舞い散る時間」
  • また出た!「リリカル・ミステリー」 - 一本足の蛸

    春待ちの姫君たち―リリカル・ミステリー (コバルト文庫) 作者: 友桐夏,水上カオリ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/11メディア: 文庫 クリック: 15回この商品を含むブログ (79件) を見る困った。感想が書けない。これほど感想が書きにくい小説は『白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)』以来だ。あのときは「感想の書きにくさ」をネタにしたのだが……まあ、今回はもうちょっと真面目に感想を書くことにしよう。 未読の人に少しヒントを与えることになるかもしれないので、ご注意ください。 『白い花の舞い散る時間』は、パッケージと内容(特に中盤以降の展開)とのギャップで話題になったが、2作目ともなると、いくらタイトルがメルヘンチックでもイラストが綺麗でも、読者は身構えて読むだろうから、同じ効果は期待できまい。ではいったいどう仕掛けてくるのだろう? 実際に読み始める前に考えていたのは、だい

    また出た!「リリカル・ミステリー」 - 一本足の蛸
    genesis
    genesis 2005/12/01
    友桐夏の第二作レビュー。
  • ミステリとは見せパンのことと見つけたり - 一本足の蛸

    トリックの質は「隠蔽」である。これには二つの意味がある。一つは、トリックを用いることによって真相を隠蔽するということ。もう一つは、そこでトリックが用いられているということも隠蔽されなければならないということだ。奇術においては、巧妙に仕掛けられたトリックによって真相が観客から隠蔽され、かつ、いかなるトリックが用いられているのかすら隠蔽されているので、あたかも奇蹟が行われたかのように錯覚するのだ。 しかし、ミステリの場合はちょっと事情が異なる。なるほど、ミステリにおいてもトリックは「隠蔽」という質を失ってはいない。しかし、そこでは常に「暴露」とセットになっている。小説のラストシーンでは、トリックのメカニズムは名探偵によって解明され、奇蹟は消滅するのだし、そもそも最初から読者は「ここに何かトリックがあるに違いない」と身構えているのだから、最初から暴露されているのも同然だ。また、時にはトリック

    ミステリとは見せパンのことと見つけたり - 一本足の蛸
    genesis
    genesis 2005/11/17
    曰く,「ぱんちらとは現象であり結果です。見せパンは意志であり行為です。」
  • ライトノベルの「発見」 - 一本足の蛸

    ライトノベルが「発見」されたのは2004年のことだった。このジャンルの全盛期は前世紀のことで、当時はまだ「ライトノベル」とは呼ばれていなかったが、の売り上げは今の1.5倍くらいあったらしい。当かどうかは知らないけれど。 全盛期には注目されていなかったライトノベルが、なぜジャンルの勢いに翳りが見え始めてから「発見」されるようになったのか、ということについてはいくつかの説がある。いくつか挙げてみよう。 全盛期の読者が成長して、出版・マスコミ業界に進出して企画を立ち上げられる世代になった。 インターネットの成熟により、ネット書評サイトが増えた。 一時期のオタク文化をリードしていたエロゲーが衰退し、理屈っぽいマニアがラノベに流れてきた。 出版業界全体の低迷に比べるとラノベの売り上げはそこそこで、傍目には成長しているかのように見えた。 ラノベの停滞に危機感を覚えた人々が事態の打開を図るために、宣

    ライトノベルの「発見」 - 一本足の蛸
    genesis
    genesis 2005/10/25
    私は物語をめぐる主導権の移動と理解するので [3.エロゲーの衰退] が主要因に見えるのですけれど。
  • 1