『赤朽葉』もまだ読んでいないし、『荒野の恋』の最終巻が出るまでちょっとした抗議の意味も込めて買わないつもりだった。しかし、出先で中途半端に時間が空いて、冷やかしのつもりで入った書店でこれを見つけたのがよくなかった。試しにパラパラと冒頭部分をめくってみる。……。…………。…………………………。気が付いたら、足がレジに向かっていた。そういえば、『赤朽葉』を購入した時も似たような状況だったなあ。桜庭一樹の諸作品は、どれも冒頭の掴みがうまくて困る。いずれは購入しただろうから衝動買い、というのもまた違うし、後悔はしてないんだけど、なんかこう、何かに負けた気分だ。隣に並べられてた『読書日記』(asin:4488023959)は踏みとどまったのが救いか。あんなの読んで見知らぬ名作を知って、今以上に積読を増やしたくない。 彼女のまっすぐで善良な解釈は時に凛子の意地悪な嘲笑を浴び、時に凛子をはっとさせた。凛