上流家庭の子女たちと、その家に雇われる少女たちの暗く歪んだ関係性を軸にして描かれる連作短編集。 丹山家のお嬢様の世話係として引き取られた少女夕日の、聡明な吹子お嬢様に心酔する暗い想いを綴った手記からはじまる、『身内に不幸がありまして』。六綱家の主人が外で女に産ませた娘の内名あまりが、屋敷の別館で家の厄介者として外界から隔離されて生活する早太郎との生活を描く『北の館の罪人』。貿易商の辰野家の別荘番として雇われた屋島の元に遭難者が現れる『山荘秘聞』。小栗家の嫡子として生まれながら、厳格な祖母にいつ用無しとして社会的に抹殺されるか分からない少女の純香が、ただ一人の友として彼女の使用人の五十鈴に向ける縋るような想いで綴られる『玉野五十鈴の誉れ』。これら四編に加え、その作品世界の随所に現れた「バベルの会」という読書サークルの消滅を描いた表題作『儚い羊たちの祝宴』。 各短編は、その家の子女たちが通う大
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