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ブックマーク / akashic.hatenablog.com (3)

  •  米澤穂信 『儚い羊たちの祝宴』 - Akashic Note

    上流家庭の子女たちと、その家に雇われる少女たちの暗く歪んだ関係性を軸にして描かれる連作短編集。 丹山家のお嬢様の世話係として引き取られた少女夕日の、聡明な吹子お嬢様に心酔する暗い想いを綴った手記からはじまる、『身内に不幸がありまして』。六綱家の主人が外で女に産ませた娘の内名あまりが、屋敷の別館で家の厄介者として外界から隔離されて生活する早太郎との生活を描く『北の館の罪人』。貿易商の辰野家の別荘番として雇われた屋島の元に遭難者が現れる『山荘秘聞』。小栗家の嫡子として生まれながら、厳格な祖母にいつ用無しとして社会的に抹殺されるか分からない少女の純香が、ただ一人の友として彼女の使用人の五十鈴に向ける縋るような想いで綴られる『玉野五十鈴の誉れ』。これら四編に加え、その作品世界の随所に現れた「バベルの会」という読書サークルの消滅を描いた表題作『儚い羊たちの祝宴』。 各短編は、その家の子女たちが通う大

     米澤穂信 『儚い羊たちの祝宴』 - Akashic Note
    genesis
    genesis 2008/11/27
    曰く,「本作は、厳格な上流家庭というある種の密閉性の高い世界で育まれた歪みと闇が織り成す物語であり、その結末においては全作品を通じて暗黒性がたちこめています。」
  •  米澤穂信 『遠まわりする雛』  - Akashic Note

    『氷菓』に始まる古典部シリーズの短編集であり、古典部入部から間もない時期から、翌年の春までの1年あまりを時系列に従って描いた作品集。 『やるべきことなら手短に』『大罪を犯す』『正体見たり』『心あたりある者は』『あきましておめでとう』『手作りチョコレート事件』『遠まわりする雛』の7編が収録。 「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」という「省エネ」を信条に掲げる主人公の奉太郎が、高校で入部した古典部で千反田えるというお嬢様に出会ったことで、不意ながらも面倒ごとの解決に乗り出す…という、物語の基構造は編とほぼ同様です。ですが、作では(間には、『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』事件を経て)千反田の「気になります」というひと言でもって奔走させられる奉太郎自身の複雑な変化が、青春ミステリの体裁を借りて克明に描かれています。 ミステリ的には、

    genesis
    genesis 2007/10/11
    曰く,「ミステリ的には、端整かつ大胆なロジック重視の謎解きであり、特に『心あたりある者は』は論理のアクロバットが見事な作品」
  •  谷原秋桜子 『砂の城の殺人』 - Akashic Note

    スペインで父親が失踪してから5年、父親を探しに行くための資金作りの次なるバイトは、廃墟を撮影するカメラマン瑞姫の助手。「2日で5万円」に釣られたものの、危険を伴う撮影に同行してすっかり怯える美波が親友の直海とともに連れて来られた廃墟は、瑞姫の実家で、12年前に母親が失踪を遂げた家だとのことでした。ですが、瑞姫の兄らも合流したその家で、瑞姫の記憶のままの母の服装で、まるで地面から這い出してきたかのような異様なミイラを発見した上に、外界とここを繋ぐ唯一の「橋が落ちた」と告げられ・・・。 クローズド・サークルものですから、限られた容疑者の中で犯人の目星は割と簡単につきますし、物理トリックも拍子抜け、と思いきや、最後で上手い具合にひっくり返す演出は、再開されたシリーズへの著者の意気込みを感じさせる意欲的なものと言えるでしょう。 さらに、主人公美波の失踪した父親探しにも進展が見え、シリーズとしても今

     谷原秋桜子 『砂の城の殺人』 - Akashic Note
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