著作権法の専門家のはずの白田です。法律について考える人は、ほとんどの場合「権利の最大化」について考えるものでして、おおよそ、その趣旨で発言するのが仕事です。しかし、ここでは、どこかの教会の牧師の説教のような話をさせていただきたいと思います。 「人が生きている」ということは他の人々との間に関わりがあり、他の人に影響を及ぼすことであると考えましょう。私たちの一生は短く儚く、わずか100年も経たないうちに私たちのこの世での「しるし」は消え去ってしまうわけです。しかし、もし私たちの書いたものが私たちの生を越えて残り、それを読んで私たちの「しるし」に心動かされる人がいれば、私たちは永い命を保つことになるのです。それゆえに、作者の死後も読みつがれる作品は偉大なのだと思います。 青空文庫について言えば、すくなくとも読者の一人が、その作者の作品の一字一句を入力し、永遠の命を与えようとするほど作品を愛してい