そもそも財政再建がなぜ必要かといえば、財政が不健全でそのままではいずれ大きな問題を引き起こす可能性が否定できないからであり、多くの場合その主な原因は過去に財政赤字を顧みずに行った財政出動(財政拡張)ということになる。 そしてなぜ過去に財政赤字を顧みずに財政出動をしてしまったのかと言えば、それが少なくとも短期的な景気対策としては非常に有効だから、というのが答になるだろう。 財政出動をケインズ流の総需要管理政策と考えれば財政出動は「有効需要不足によって非自発的失業が発生している状態」の時に行うことで乗数効果等も働いて大きな効果が期待できると考えられており、現代においてはこの政策は広く受け入れられ、多くの国で推進されている。 一方、ケインズ流の財政出動を考えるときに留意が必要であり、かつ往々にして無視されているのはそれが財政の長期にわたる維持可能性を担保するものでは全くないという点にある。 早い
北海道新聞で不定期に連載している『路地裏の資本論』 地元以外ではあまりご覧いただけないでしょうから、ここに掲載したいと思います。お読みいただければ幸いです。 イザベル・ホランドの小説『顔のない男』は、メル・ギブソン主演、監督で映画化されて『顔のない天使』となった。過去に事故で生徒を死なせてしまい、自らも顔に傷を負った教師と、孤独な少年の物語は心に響いた。 政治の世界にも顔のない男は登場した。旧東ドイツの秘密警察シュタージの対外諜報部門を誰が操っているのか長い間謎であった。その男マルクス・ヴォルフは、名前も顔も知られていないが確かに存在している「顔のない男」であり続けた。かれらは、やむなく匿名性の存在になった。匿名性に逃げ込むことで、自分に及ぶ危害から身を守ろうとしたわけである。 ところで、この時代のわたしたちは誰もが顔のない男だ、と言ったら奇異に響くだろうか。現代における、顔のない男とは、
自分は政治史も政治思想史も全然知らないが、これまで観察してきて人並みに思うところはあるので、そこで人並みにいい加減なことを書こうと思う。いい加減だから、あくまでも飲み屋のヨタ話「呑兵衛雑談」にすぎない。 ・・・ 「検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書)」という本を書いた人がいる。著者は荻上チキ。昔はてなダイアリーでチマチマとものを書いていたこの人は、左サイドでは良心的とされ、近年非常に信頼されており、支持もあついし、朝日新聞の書評なぞでも名前を見るようになった。 「東日本大震災の流言・デマ」。うむ。 ではこの人は、リフレ派が流したデマや、いい加減なことを言ってきた学者・専門家を批判してきたのだろうか? そういう疑問を持つと、たとえば次のような tweet がひっかかる。2011年7月28日のものだが。 https://twitter.com/Recorremos/status/96
「男の労働者は余っている」を書いたばかりですが、8月分の結果が発表されましたので、とりあえず 8月の男性の年齢階級別就業率(%)年齢1997年2008年2014年97年との差08年との差
保守親父さんが「日本はまだ人手不足ではない」で次のように書かれています。 エモット氏が言わんとしているのは日本ではたしかに労働需要が高まっているが、多数の女性や高齢者が労働市場に流入しており、かつそれらが比較的低賃金の非正規雇用形態で雇用されているため、まだ賃金の上昇が起きておらず、したがって(賃金上昇が起こるほどの)労働力不足ではない、ということのようです。実際に労働力調査や一般職業紹介状況などの結果によればたしかに昨年から今年にかけて女性や高年齢者の新規求職者数は増勢にあるので、エモット氏の見立てが当たっているのかもしれません(正確な判断にはさらに分析が必要でしょうが)。 ということで、非正規雇用の賃金はすでに上昇傾向にありますので、今後正規雇用の賃金が上がる、あるいは相対的に賃金の高い正規雇用が増加するといった形での賃金上昇が期待されますが、それにはもう一段の労働力不足状況の実現が求
名目で見れば雇用者所得の増加率は高まってきています。7月はボーナスという特殊要因がありますが。そう悪い数字ではありません。 名目は問題ないのですが、問題は消費者物価が総合で3.4%、持ち家の帰属家賃を除く総合ではなんと4.4%も上昇していることです。雇用者所得を総合で割れば実質プラスですが、これは特別給与の伸びの効果です。8月には消えるでしょう。 消費の動向が気がかりです。雇用者報酬が実質マイナスでも、これは一時的なもので2015年4月以降はプラスに転じると家計が予想するか、雇用の安定が家計の将来見通しを明るくしたりして、消費が拡大するという可能性はありますが、なかなか難しいでしょう。 手元の資金の範囲内での消費という生活態度(堅実です。)であれば、現実の所得に制約されます。今後も輸出や消費が振るわず生産が停滞すれば雇用の拡大の持続性に疑問が生じます。なんとか4月までフルタイム労働者の雇用
毎月勤労統計の7月分確報が発表されました。7月の特徴は特別給与の額が6月ほどではないのですが、多いことです。 一言でいえば、雇用環境は好調、所得環境は悪化です。 まず、雇用の動きを見ると、常用雇用全体では1.7%増加で、内訳をみると一般労働者は1.1%増加、パートタイム労働者は3.0%増加です。全体の増加率も高まりましたし、フルタイムが伸びています。6月に引き続き1%台です。堅調といっていいと思います。パートタイム労働者の増加率は6月より高くなりました。パートタイム労働者の増加率のほうが高いので、パートタイム労働者の割合は高まり続けています。 常用雇用の増加率(%)規模全体フルタイムパートタイム
大体さ、消費税10%はニュートラルと言いながら、社会保障関係の予算は消費税10%を前提にしているって、もう既に増税は決まっていると自分から認めるようなものだよ。一応増税延期パターンと、予定通りパターンの2パターンで頭の体操をしているでしょうが・・・ #nhk
少し前の加藤出さんのコラム記事(『週刊ダイヤモンド』2014/9/20号)を読んでいたら、 慶應義塾大学の池尾和人教授が指摘しているように、今の日本の政策は事実上の「ヘリコプターマネー政策」とみなすことができる。 と書いてあった。確かにそうした趣旨のことを発言した覚えはあるのだけれども、ニューケインジアン経済学のテキストブック(Monetary Policy, Inflation and the Business Cycle: An Introduction to the New Keynesian Framework, Princeton University Press, 2008)などで有名なガリ(Jordi Gali)の記事を読んでいて、厳密にそう言い切れるかどうかについて反省するところがあったので、記しておきたい。 ガリは、主要な中央銀行によって採用された非伝統的な金融政策の類い
ちなみに年収5百万の家庭が消費税10%にされると年27万5千円の負担増。各種税や保険料113万と合わせて、なんと年140万の負担!そらあ厳しいはずだよ。なのに児童館も学校も潰され、体育館利用料3倍て言われたら、税金何に使ってんだ!てなるわな。
もう成長出来ないという人が見たくない図。日本はこの20年間の成長率は世界でビリ。その間、マネー伸び率もビリ。要するにカネのスリ方が足りなかったから、成長率が世界でビリというのが自然な見方。これほど経済成長と関係ある政策はまずない http://t.co/w70miyS21f
松尾匡 さんのコメント... ご指摘は、後続の人が事実を究明するために役立つよう、建設的に活かしたいと思いますので、ご指摘になっていないところでまだわかっていない部分も含めてご説明します。 私の示したデータから確実に言えそうなことは、社民党政権期の就業者数の拡大には、輸出と設備投資の増加が最も影響しているということです。(貿易収支よりは輸出そのものの方が就業者数と合っていそうです。これは国内生産物に輸入品との競合品が少ないときには言えることです。輸入等の増加と同時に、国内総支出項目の消費なども増加するので。) うち、設備投資の増大と「実質利子率」の逆相関関係を示した図表3のデータについては、世界銀行のWorld Development Indicatorsに"Real interest rate "というのがあったので、それをそのまま使ったのですが、後の調べでは、どうやらこれを作るときのイ
2010年11月15日付けのバーナンキ宛ての公開書簡(邦訳1、邦訳2)から4年が経ち、米経済が回復している現況――企業の債務は低下する一方で利益は最高益を記録し、失業率は書簡当時の9.8%から6.1%に低下*1、S&Pは2009年3月9日時点からほぼ3倍になった――を受けて、ブルームバーグが書簡の署名者にインタビューを敢行している(H/T クルーグマン[ブログ記事、論説])。署名者23人のうち、ロナルド・マッキノンはこの記事の掲載日の前日の10/1に亡くなったが*2、9人がインタビューに答えたという。9人とも書簡で示された立場を堅持したとの由。 ジム・グラント、Grant's Interest Rate Observer誌発行人、電話インタビュー: “People say, you guys are all wrong because you predicted inflation and
IMFの研究者が先進国での公共投資によるインフラ整備を訴えたのに対し、マンキューが疑問を呈した。さらにそのマンキューにEconospeakのピーター・ドーマンが疑問を呈している。 Abdul Abiad, David Furceri, and Petia Topalova (IMF Survey) The study, which is published in the IMF’s October 2014 World Economic Outlook report, examines the macroeconomic effects of public investment in a large number of countries. The findings suggest that in countries with infrastructure needs, now is a
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10月1日は中国恒例の国慶節で、週末まで仕事は休み、一部は東京・銀座に来る。デパートのルイ・ヴィトン売り場にはブランドものを着た中年の男たちが出たり入ったり。今の日本人には絶えて久しい、ギラギラした精力を発散している。もちろん、中国からのお客さんだ。 中国人団体ツアーを案内している業者に聞くと、「複数のガールフレンドへのみやげに同じ天然パールのネックレスを何セットもまとめて買うことなんてざら。定番の夕食セットが気にいらず、1人10万円以上もする特別メニューに切り替える団体さんもいる」という具合だ。 何しろ、人民元は円に対して昨年初め以来、二十数%高くなったし、しかも、モノを買っても消費税率8%は免税。おまけに中国の高利回り信託商品に預けていると年10%前後の金利が入る。増税と実質収入の目減りにげんなりしているわれわれと違って、かれらにとって「日本はとにかく安い」のだ。 富める中国人の急増の
政治ブログランキング応援クリック、よろしくお願いします! ↑お陰様をもちまして、 50位に復帰しました!!! 本文をお読み頂く前に1クリック頂けると 幸いでありますm(_ _)m ※得点になるのは1日1クリックまで、です。ありがとうございます! 徳間書店刊 「日本経済のミステリーは心理学で解ける」 「個人レベルから国レベルに至る“閉塞感”を打ち破るための共通原理」を、経済学、心理学、脳科学、生物学等から抽出:ぜひご一読頂きたい、味わいある一冊です! ・経済統計データだけでなく、心理学や脳科学や生理学の観点からも「国の借金」の分析を行っています――「国の借金」に対する恐怖をどうすれば乗り越えられるか? ・「日本の国の借金はもうダメだ」という考えと、「いや、日本の国の借金は大丈夫だ」という考えを両方とも正しいと仮定した上で、長期的に日本が安定的に繁栄を続けるための方策の試論を提示しています。他
9/30に公表された8月の経済指標の結果は、経済運営の担当者にとって、血の気が引くような内容だったろう。同じ日、安倍首相は、「経済の好循環が生まれ始めている」と国会で答弁していたが、起ころうとしているのは、デフレへのスパイラルだ。一気の消費増税は、成長をなぎ倒し、惨敗にアベノミクスを引きずり込んだ。もはや、日本経済は、マイナス成長への転落が避けがたい情勢となった。 ……… まず、8月の家計調査から見ていこう。二人以上世帯の季節調整済の実質指数は、前月比-0.3の93.4となり、反動減からの回復どころか、2か月連続しての低下である。2013年度平均の100.4からは7ポイントもの差がつき、昨年水準をいつになったら取り戻せるのか、見当もつかないほどだ。 その結果、家計調査の7,8月の平均は、増税と反動減で落ち込んだ4-6月期を更に-0.4下回るという、惨憺たる有り様である。財政当局は、低迷を「
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