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ブックマーク / antimainstreameconomics.blogspot.com (264)

  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 18 国家資本主義的統制経済か?

    佐和隆光氏の『経済学のすすめ』(岩波新書、2016年)は、いろんな意味で関心を引く良書であり、一読をお勧めしたいが、その中でアベノミクス(安倍氏の経済政策)について触れたところがある(98ー100ページ)。 最初にその箇所を要約しておこう。 一体アベノミクスは「新古典派」なのか、「ケインズ派」なのか、と問題提起したのち、佐和氏はそのどちらでもないとして、「国家資主義」と断定する。その証左は次の通りである。 1,日銀のインフレターゲット論は、個人や企業の(期待や行動の)多様性を認めない新古典派仮説の典型であり、上位下達の愚民政策である。 2,インフレ期待が成長と賃金上昇に結びつかないことに業を煮やした政府は、経団連に賃金引き上げを要請した。労使交渉に政府が介入するという前代未聞の挙。(国家主義の一連) 3,政策が「期待」という人により異なる要素に依存しているため、政府は、マスメディアにおけ

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    gruza03 2017/07/21
    インフレ期待が成長と賃金上昇に結びつかないことに業を煮やした政府は、経団連に賃金引き上げを要請した。労使交渉に政府が介入するという前代未聞の挙。(国家主義の一連)/ 錯乱状態なのか
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 18 異次元の量的緩和 日本一人旅

    一つのよく知られた図がある。 日欧米の中央銀行の総資産(GDP比)の推移を示すものである。 すでに2012年までの時点で、日銀は欧米の中央銀行(FRB、ECB)以上の量的緩和を実施していた。その後、黒田日銀の下で、異常ともいえる金融緩和が行われてきた。その方法は、国債購入やETFであり、その結果、日銀はほぼGDPに等しい額の資産(国債、ETF,融資など)を保有するに到っている。 そのような中で、GDPの1/4ほどに相当する資産を持つにすぎない(!?)FRBが保有資産の圧縮に踏み切る。欧州もその下地をこしらえている。 しかし、黒田日銀は、ずっと前に達成するはずだった「デフレ不況」克服を達成できずに、達成時期を先に、先にと何度も延長してきた。まだまだ、日銀の保有資産がGDPの(例えば)二倍になっても続けるつもりだろうか? FACTAが「緩和日一人旅と指摘するとおりである。 FRB「資産圧縮

    安倍氏の経済政策の経済的帰結 18 異次元の量的緩和 日本一人旅
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    gruza03 2017/07/20
    財政政策への移行ができない日本と財政政策への舵を切った欧米。それが「緩和一人旅」。時間を稼ぐ金融政策に頼りすぎて、本来の目的を失った。それはあなたの支持する野党の無責任と支持者の無能のせいでもある。
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 17 「賃金単位」と労働生産性、他の指数の推移に見る

    「長期停滞」、「デフレ不況」といわれてきたものの実態を分析するために、最初に分析の道具を紹介しておきたい。 その道具は、ケインズの「物価の理論」にある。 J・M・ケインズは、『一般理論』第21章「物価の理論」の最後の文(結論)で次のように述べている。 物価が長期的に見て安定的になるか不安定的になるかは、賃金単位(もっと正確に言えば、費用単位)が生産体系の能率の上昇率に比してどの程度の上昇傾向を持つかに依存している。 この文章は、ちょっと読んだだけではわかりにくいかもしれないけれども、物価、つまり商品(財やサービス)の価格が長期的にみて上昇するか、下落するかは、「賃金単位」と「生産体系の能率」の変化によって決まるという趣旨である。 これは、ケインズが「貨幣数量説」を根的に否定している一節でもあり、重要なので、少し詳しく説明しておきたい。彼は、物価が所得・費用と密接に関係していると考えていた

    安倍氏の経済政策の経済的帰結 17 「賃金単位」と労働生産性、他の指数の推移に見る
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    gruza03 2017/07/20
    賃金の「参照点」が賃金「所定内給与」なのか、賃金「所定外給与(生活給)を含む給与総額」なのか。その点があいまいでは賃金デフレ論は迷走する。日本の労働系学者の能力に疑念を感じているところでもある。
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 16 安倍を支えたリフレ派ブレインたちの言い訳

    現在、アベノミクスをかつて支持していた「ブレイン」たちの言い訳があちこちでなされている。 その一人、浜田宏一氏や岩田規久男の言い訳を紹介し、批判したサイトを一つだけ紹介しよう。 Money Voice http://www.mag2.com/p/money/27546 そもそも「物価は貨幣現象」というのが、浜田氏や岩田氏、黒田氏などの「リフレ派」の主張だった。 もちろん、物価が貨幣に密接に関連した現象であることは、誰も否定していない。問題は、「貨幣現象」という表現を超えたことを、彼らが主張していることである。彼らの主張は、むしろ「貨幣数量説」と呼ぶ方が正確である。 では、貨幣数量説とは何か? それは物価水準が貨幣ストック(市場に供給されている貨幣量の総額)によって決定されるというアイデア、教義である。それは次のきわめてシンプルな数式によって示される。 PQ=MV この式で、Mは貨幣量、Vは

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    gruza03 2017/07/20
    すべては不確実である。そのため、企業は簡単には価格を引きあげたり、引き下げたりしたがらない。重要なことは、価格は、人々の所得および支出(負担、費用)と密接に関係していることである。/賃金の情報硬直性
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 15 世論調査と選挙の社会学

    すこし古くなってしまったが、民主党がなぜ選挙で敗れ、自民党が勝ってきたのか、なぜ日リベラル左派は政治的に大きな力を発揮できないのか、これについて宮崎駿氏がイギリスのタイムズ紙のインタビューに応じ、答えている(2015年7月14日)。 イギリスのTIMES誌です。安倍首相に関しては、よく分からない部分があります。たとえば原発問題などの世論調査を見ると彼の人気は低いが、選挙では自民党が勝ってきました。宮崎監督もどちらかというとリベラルに属していると思いますが、なぜ日の左派の人々は政治的に大きな力を発揮できないんでしょうか?宮崎駿さん:「民主党の最初の総理は、沖縄の基地の問題についても日全体で背負うべきであって、『沖縄だけに負担させるのは間違いである』と、はっきり言った方です。でも、たちまち党内の勢力争いの中で、引きずり降ろされてしまいました。その後、地震と原発が立て続けに(日を)災厄

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    gruza03 2017/07/20
     案の定、自民党(安倍晋三)は、消費増税という成果を他党の不評を犠牲にして手に入れ、しかも、それによって歳入が増加し、毎年の公債発行額を減少することに成功したことまで、自分の功績にしてしまった。/錯乱
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 14 日本経済は英米独仏の経済とどう異なっているか?

    かつて安倍首相は、「私の名はアベノミクスによって歴史に残る」と語ったそうだが、たしかにネガティブな意味ではそうだろう。 かつてある社会科学者が述べたように、人間は歴史を作るが、自由に作ることができるわけではない。与えられた条件の中で、またそのときどきの歴史的・制度的条件によって制約された手段を用いて作ることができるだけである。 したがって何かを変えるために政策を打ち出す者は、最初に現状を分析し、所与の条件や利用できる手段の妥当性を検証しなければならない。しかし、安倍氏には、これらの必要条件とも言えることを行う能力が欠如している。「云々」という感じを「でんでん」と読むのはまだ無害であり、許容しうる。だが、政策立案に能力の欠如については、決して許すことができない。 さて、同じ資主義経済でも各地域、各国によって大きな歴史的環境・条件の相違、制度的相違があり、それが人々の経済活動の結果、パフォー

    gruza03
    gruza03 2017/07/20
    日本について「長期デフレ」を語ることができるとしたら、それはこの賃金低下による。要するに日本の「デフレ不況」と言われているものは、本質的に「賃金デフレ」である。
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 13 金融資本主義/マネー資本主義は資本主義経済の本性

    社会は、1980年代末の資産バブル、1990年代初頭以降のバブル崩壊、度重なる金融危機、長期停滞(といっても成長率が1980年代よりは低かったとしても、いまよりははるかに高かった)、不良債権処理、失業率の上昇、非正規雇用の拡大、名目賃金の低下、等々の出来事に見舞われ、すっかり自信を失ってしまったようである。 来ならば、(1)資産バブル→金融危機(金融崩壊)の要因、(2)実体経済の毀損(賃金低下、高失業、非正規雇用拡大など)の要因をきちんと分析し、生来にむけてきちんとしたビジョンを提示しなければならないはずである。 ところが、そうはならず、相も変わらず、金融資主義/マネー資主義の幻想にとらわれ、金融資主義をすすめることが実体経済の成長を促進すると信じている人が多い。国民にビジョンを提示するべき政治家の中にもそのような人は多くいる。安倍首相もその一人である。

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    gruza03 2017/07/16
    相も変わらず、金融資本主義/マネー資本主義の幻想にとらわれ、金融資本主義をすすめることが実体経済の成長を促進すると信じている人が多い。/再生可能エネルギーガーは金融資本主義ですけど。
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 12 マネー資本主義と「プレデター国家」

    安倍氏の経済政策が「新自由主義的」な色彩を濃厚に帯びていると、シリーズの最初の方で書いた。しかし、その政策がまったく「自由市場」に経済活動のすべてを委ねているかといえば、決してそうではない。 新自由主義の家をなす米国でもそうである。米国の経済学者、ジェームス・ガルブレイス氏が強調するように、保守派はとうの昔に実態的には「自由市場」を放棄しており、むしろ国家を一部の人々の利益のために有効に利用する「プレデター国家」(掠奪者国家)になってしまった。もちろん、この恩恵を受けるのは、一握りの金融業者、投資家、経営者、特に巨大企業のCEOs(最高経営責任者)、一部の政治家などである。 ただし、彼らは「新自由主義」の看板を完全に下ろしてしまったのでは決してない。彼らにとって利用価値が高いと判断された場合には、躊躇なく利用する。要するに、一握りのプレデター(略奪者)たちは、自分たちに利益になるように

    安倍氏の経済政策の経済的帰結 12 マネー資本主義と「プレデター国家」
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    gruza03 2017/07/16
    さすがにこれは頭が...だと感じる。プレデターと断じる投資家には元々、カルパース、ノルウェー等年金基金も同様なのですよ。欧米の労働者が間接的なプレデターと断じる経済学では今までの批判が崩壊する
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 11 政府統計に見る/即刻退陣に値する「功績」

    この辺りで、安倍政権の経済政策のパフォーマンス(実績)を統計的に少し詳しく検討してみよう。 実質GDPについては、すでに紹介してあるので、その他のデータを以下に載せることにする。 まずは日全体の「消費」総額から。下の2図は、上が名目値、下が実質値であるが、2014年の第一四半期(Ⅰ期)に消費が急増しているのは、消費増税前の駆け込み消費支出による。もちろん、消費増税が実施されると、消費額は急落し、その後、2015年にかけて緩慢に増加してゆくが、その後、ほと停滞している。しかも、上図は、消費者物価指数(CPI)により調整していない名目値である。しかし、周知のように2014年には、消費者物価の相当な上昇があった。そこで、消費は実質的には上の図が示すよりはかなり低くなる。下がその実質値である。見られるように、アベ政権誕生前には、そこそこに拡大していた消費が駆け込み需要の急落後は、まったく停滞して

    安倍氏の経済政策の経済的帰結 11 政府統計に見る/即刻退陣に値する「功績」
    gruza03
    gruza03 2017/07/16
    歴史的には、物価上昇の中で実質家計所得が減少したときに、以前と同じ消費水準と所得水準を維持しようとして、多くの家計が家計補充的な所得を得るために取る行動ときわめて類似している。
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 10 「総理の御意向」による賃上げ

    経済の「長期停滞」(「デフレ不況」とも言われた)と賃金の低下との関係に関する予備的な説明は以上にとどめておこう。 さて、第二次安倍政権が誕生してから、賃金(雇用者報酬)が実際に上がったではないかという反論があるかもしれない。 たしかにその通り。実際には正確に言うと、名目賃金(貨幣賃金)はたしかに上がったが、実質賃金は低下したというのが事実である。 ここではその背景と経過を簡単に見ておこう。 1,「アベノミクス」は、金融緩和による貨幣ストックの増加を通して、2パーセントのインフレ(物価水準の上昇)と経済成長を実現するとして公言していた。ということは、最低限2パーセントの貨幣賃金の上昇が実現しなければ、実質賃金が低下したということになる。 いくら「云々」を「でんでん」と読むような知性の持ち主でしかなくても、物価上昇率より低い賃上げでは、実質的に賃金水準が低下することになることは理解したはずであ

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    gruza03 2017/07/16
    「アベノミクス」は、2パーセントのインフレ(物価水準の上昇)と経済成長を実現するとして公言していた。ということは、最低限2パーセントの貨幣賃金の上昇が実現しなければ、実質賃金が低下したということ
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 9 雇用者報酬は何故さがったのか? なぜアベノミクスは雇用者報酬を上げることが出来ないのか?

    安倍氏の経済政策の経済的帰結 9 雇用者報酬は何故さがったのか? なぜアベノミクスは雇用者報酬を上げることが出来ないのか? 1998年から雇用者報酬(以後賃金と言う)が下がったのはなぜか、またこの賃金低下は名目GDPの低下とどのように関係しているのか? これはアベノミクスが果たして有効な政策でありうるかという問題と密接に関係している。またそれは、アベノミクスがなぜ雇用者報酬を上げることができなかったかという問題とも関係している。そこで、多少まわり道でも、この問題を取りあげなければならないだろう。 まず第一の問題は、なぜ賃金が1998年から低下しはじめたか、であるが、もちろん、現実には多様な要因が作用しており、必ずしも単純ではない。 しかし、一つの大きい事情・要因が作用していたことは疑いない。その事情・要因は、日政府の経済政策と密接に関連しているが、とはいえ、責任すべてが政府の政策に帰され

    gruza03
    gruza03 2017/07/16
    1996年には、EDRCによる対日審査が行われ、それは長期雇用、年功序列型賃金などの日本型雇用慣行を激しく非難し、日本政府の雇用政策に変更をせまった。具体的には、就業形態の多様化と労働移動などを促進する
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 8 たしかに「アホノミクス」です

    浜矩子さんが述べるように「アベノミクス」は、たしかに「アホノミクス」または「どアホノミクス」と呼べるだろう。 私は、来性格的に人を激しく非難したくない質だが、安倍氏については、事情が異なる。彼は一国の総理大臣であり、その政策如何によっては日人をとんでもない場所につれてゆく危険性が大いにある。 ここでは最初に、二人の著名な経済学者・研究者(山家悠紀夫氏と伊東光晴氏)のアベノミクス分析から始めたい。 山家悠紀夫さん(『アベノミクスと暮らしのゆくえ』岩波ブックレット、2014年)は、すでに「アベノミクス」が始まった時点で、その特徴を三つあげているが、私もまったくその通りと考える。 1)「非科学的」な政策 2)多くの経済思想が混在した政策 3)現状認識を見誤った政策 また伊東光晴氏は、次のように述べている(重倉篤郎『日の死に到る病 アベノミクスの罪と罰』河出書房新社、2016年)。 「祖父(

    安倍氏の経済政策の経済的帰結 8 たしかに「アホノミクス」です
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    gruza03 2017/07/16
    だから、新自由主義政策も、その一つの流れをなすマネタリズムも、いわゆる「リフレ論」も「積極的な財政支出」(「ケインズ政策」)もごちゃ混ぜになっている。
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 7 「ケインズ政策」の効果?

    安倍氏は俗にいう「ケインズ政策」を実施したのか、もしそうだとしたら、その結果どうなたのか? これが前回のブログで、私の提起しておいた問題である。 しかし、結果については、一部は既に示してある。実質GDPについて言えば、それは安倍政権成立前のパフォーマンスを大幅にしたまわっている。要するに低成長である。 この質的な原因・要因が何かは、あとで詳しく検討しなければならないが、とりあえず言えることは、アベ財政政策がなにかしらの成長率の上昇をもたらしたということはない、ということだろう。 だが、論より証拠、実際の統計を見ておこう。下図は、財務省のホームページから得たものである。 http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/003.htm この図からすぐにわかることは、アベ政権がいわゆる「ケインズ政策」を実施した形跡はうかがえない。何故か? 第

    安倍氏の経済政策の経済的帰結 7 「ケインズ政策」の効果?
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    gruza03 2017/07/16
    この図からすぐにわかることは、アベ政権がいわゆる「ケインズ政策」を実施した形跡はうかがえない。何故か?  第一に、一般会計の歳出額は、増えていない、どころかむしろ減少ぎみである。
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 6 「ケインズ政策」?

    安倍氏の経済政策の中に、明確に「新自由主義」政策的な要素が混入していることを確認してきた。 ところで、経済社会は複雑系であり、様々な要因が複雑にからみあっていて、相互に影響しあっているため、またそれに応じて因果関係も、原因(A)→結果(B)という単純なものでないため、私の説明も先に進んだり、後ろに戻ったりしなければならないが、ここではさしあたり、前に進むことにしよう。 アベノミクスには、様々な要素が雑然と混ぜ合わさっているため、「小泉構造改革」の論理のような単純さに欠けている。そこで、新自由主義政策の側面を持つとともに、またそれと対立するように見える側面も指摘しなければならない。 それというのは、いわゆる「ケインズ政策」のことである。そもそもケインズ自身がどのように捉えていたかは別として、不況・景気後退・停滞に際して財政支出を拡大すること、したがって単年度の財政赤字の拡大を許容し、また累積

    gruza03
    gruza03 2017/07/16
    実際、この4年間を振り返ってみても、このような期待が生じた気配はなく、上記の因果関係に沿った成長が生じた形跡もない。
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 5 

    これまで「アベノミクス」を「新自由主義」政策の枠組みの中で把握できると説明してきたが、正直に言うと、安倍氏がそのような政策の哲学を理解しているかどうかも、かなり怪しい。むしろ安倍氏の頭の中にあるのは、激しい「思い込み」にすぎないようである。これについては、伊東光晴氏が倉重篤郎著『日の死に至る病 アベノミクスの罪と罰』(河出書房新社、2016年)の中で述べていることが事実であろう。ちなみに、少し引用すると、 「祖父(岸信介元首相)を神様のように思っている。思い込みが激しい。改憲をやりたがっている・・・・・」 「思い込みの激しさが、希望的な観測を現実だと思わせている節がある。その好例が五輪招致の際の福島原発汚染水『アンダーコントロール』(完全制御)発言だ。ただこれは幻想です。経済政策でも同様だ。現実の経済は成長していないし、人々の家計も潤っていない。」 幻想か現実か、論より証拠、とにかく現実

    安倍氏の経済政策の経済的帰結 5 
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    gruza03 2017/07/09
    このような減税が消費増税と合わせて所得と富の格差を拡大し、長期にわたって消費性向を引き下げ、社会保障制度の基礎をくずすことは明らかであるように思われる。
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 3

    さて、新自由主義政策と安倍氏の経済政策との関係であるが、それらが同じであると断定できるかどうかは別として、両者がきわめて親和的な関係にあることは否定できないとういのが結論である。なぜか? ここでふたたび新自由主義」の発想(idea)に戻らなければならないが、それが市場原理主義とともに広義における「供給側の経済学」(サプライサイドの経済学)に立脚している点を指摘しなければならないだろう。 そもそも新古典派の経済学自体が「供給側の経済学」としての性質を濃厚に帯びているのだが、この発想は、供給側、あるいは端的に言って企業側の置かれている環境・条件を改善すれば、経済は好調になり、高成長を実現できると教える。なぜ、そう言えるのか? かつてレーガン大統領は、次のように考え説明した。 もし企業(および富裕者と付け加える)の置かれている環境を改善するならば、例えばその生産に要する費用、特に人件費=賃金を抑

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    gruza03 2017/06/30
    法人税・社会保障費負担などを軽減すれば、企業(および富裕者)の純所得が増え、貯蓄が増え、したがって(設備)投資が増える。しかし、その論理は、事実上、破綻している。なぜか?
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 2

    アベノミクスと新自由主義はどのように関係しているだろうか。 その前に、そもそも新自由主義(ネオリベラル)政策とは、何か? 普通、「ネオ」(新)を関した語は、かつて存在した事象が様相を若干異にしつつふたたび登場する場合に用いられる用語であり、例えば「ネオ・ナチ」、「新古典派」などの言葉に見られる。 したがって新自由主義がかつて存在した自由主義と共通性を有することは言うまでもない。それは一言でいえば、市場原理主義または市場優先主義に他ならない。つまり、それは、人々の経済活動は、自由市場(free market)に委ねておけば、効率性、安定性、均衡などが達成するという思考原理、およびそれにもとづく一連の政策と言い換えることができる。 こうした思考法の原形が18世紀および19世紀の経済学の中に存在したことは否定できない。とりわけ、アダム・スミスやD・リカードゥ、J・S・ミルのような一級の経済学者は

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    gruza03 2017/06/30
    労働者は、賃金率が高いほど長時間働くことを欲し賃金率が低いほど低時間しか働きたがらない。これは財市場における供給と需要の関係と平行的な関係である。(価格が高いほど、多くを供給することを欲し、逆は逆。)
  • 安倍氏の経済政策の経済的帰結 1

    安倍首相の経済政策、俗に「アベノミクス」と呼ばれているような経済政策がいかなるものであり、どのような経済的帰結をもたらしたかについては、このブログでもすでに難解も言及しており、また言うまでもなく、巷の書店には、それについて書かれた様々なが並べられている。 その上に何も語る必要はないのではないかと考える人もいるかもしれないが、以下では何度かにわたって、いくつかのことを記してみたい。 いうまでもなく、その「3の矢」のうち、最も力を込めて積極的に宣伝されたのが「異次元の金融緩和」であった。この金融緩和がそれ自体としては、経済成長をもたらす上で何らの力も持たないことは、すでに何度も触れているが、ここでもまずその点を確認しておきたい。1930年代の大不況に際して米国の連邦準備制度理事会もこの金融緩和策を試みたが、失敗に終わったことは、必ずしもよく知られている事実とは言えないかもしれないが、少なく

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    gruza03 2017/06/30
    アベノミクスとは、こうした「毒矢」を放つために、まずは有権者の関心と票を買うための宣伝であったことを、まず確認しておきたい。
  • 分断社会・日本 なぜ私たちは引き裂かれるのか(井出英策、松沢裕策、岩波ブックレット、952)

    1970~80年代までの日社会は、そこそこの平等主義国家の上に成立していた。不平等は存在しており、それ自体として問題ではあったのだが、日社会の一部であり、多くの人の眼につかなかった。 しかし、1990年代初頭に1980年代末の真性バブルが崩壊し、金融危機が始まり、長期の平成不況に陥り、その後も1997年の橋財政構造改革期の金融危機の再発と、非正規雇用の拡大による(名目・実質)賃金水準の持続的低下、2001年の小泉構造改革にともなう再度の金融危機再発と賃金の低下持続、政府財政赤字の拡大と政府債務の大幅増加、減税・公共事業による景気浮揚策の不調、誰の眼にも明らかとなってきた少子化・生産年齢人口の減少、高齢者の増加などの一連の事象・問題のなかで、人々の心にも大きな変化が生じてきた。

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    gruza03 2017/02/20
    いまや、メディアを覆い尽くすのは、白分よりも弱いものを叩きのめす「袋叩きの政治」であり、強者への嫉妬、「ルサンチマン」である。
  • 日本・ドイツ・イタリア・スペイン・韓国などの激しい人口減少: なぜか?

    ブログでも、ずっと前に合計特殊出生率(fertility)、つまり平均して一人の女性が一生の間に出生する子供の数が2またはそれに近い水準を維持している地域・国(アメリカ合衆国、イギリス、フランス、スカンジナビア諸国、ロシアなど)と、それよりもかなり低く、例えば1.3またはそれに近い地域・国(ドイツ、イタリア、スペイン、東欧諸国、日韓国など)に分化していることを、紹介した。 もちろん、次のことは多くの人が知っていることであるが、歴史的に見ると、近現代にほとんどの地域・国で人口転換が生じたか、または生じつつあり、それによって多産多死から多産少死を経て少産少死にいたる転換が生じ、この過程でいったん人口が急激に増加する時期を経て安定する時期に至る。 しかし、この人口転換を経た地域や国で、合計特殊出生率が2を維持していれば、長期にわたって人口は維持されるが、もし1.3~1.5の水準が今後とも長

    gruza03
    gruza03 2017/02/15
    ケインズが次ぎように述べたとき、かれは正しかったといわなければならない。「早晩、良くも悪しくも、危険になるのは、既得権益ではなく、思想である」、と。