米国を震源地とした今回の金融危機は「投機・マネーゲームの暴走」の結果であり、マネーゲームを助長する「米国流金融資本主義」の破綻であるという議論は今日世に溢れている。 筆者もそうした点は否定しないが、単純な投機悪玉論や「金融資本主義の破綻」みたいな大袈裟なばかりで単純過ぎる議論は不毛だ。本当に必要なことは何なのかを考えてみよう。 昔から繰り返されてきた「マネーゲームの暴走」への批判 まず、経済が投機・マネーゲーム化することへの批判や警鐘は、実は2000年代や1990年代に始まったことではない。 「金融システムは急速に巨大なカジノ以外の何物でもなくなりつつある」 こう言って、スーザン・ストレンジが著書『カジノ資本主義』(岩波書店)でカジノ化する貨幣・金融の世界が実物経済の不安定性を拡大していると語ったのは1986年だ。もっと昔にさかのぼることができる。 「財産が急激な変動をし始めると、企業家自