「希望は、戦争」。そんな衝撃的な言葉を当時31歳のフリーターの男性が社会に投げかけたのは10年前の冬だった。自衛隊の任務を拡大する安全保障関連法が施行され、日本は戦争のできる国へとかじを切ったように見える。私たちはどんな時代を生きているのか―。かつて、胸に突き刺さるような言葉、心に響く言葉、記録されるべき言葉を発した人々の今を訪ね、私たちの「現在地」を考える手がかりにしたい。(報道センター 関口裕士) 41歳になった赤木智弘さんの名刺の肩書はフリーライター。東京都内のアパートで独りで暮らす。交差点を行き交う人々の流れと同じように、途切れることなく、記者の質問に答える。 「平和な日常が続いている限り、僕らの屈辱的な生活は100%変わらない。戦争が起きても99%は良くならないかもしれないけど、だったら1%の可能性に賭けてみよう、というのが『希望は、戦争』の基本的な考え方でした」と言う。