今もこうやって、まだ同じ会社で働いていることをあの頃の私が知ったら驚くだろうか。諦めかけていた「編集者になりたい」という道を、まだ道半ばだけれど今こうやって進んでいることをあの頃の私が知ったら、喜んでくれるだろうか。 社会人1年目の4月1日、私は東京のIT企業の入社式に出席していた。 出版社以外だったらそのIT企業に絶対行きたいと思えるほど大好きな企業だったし、最終的な進路を決めたときも、あれだけ自分を納得させたはずなのに、心の中には「悔しい」「こんちくしょう」という気持ちがどこかにあった。私は行きたかった出版社の選考に、すべて落ちたのだ。 社会人生活にも慣れてきた5月のなかばごろ、同じ出版社の最終面接で落ちたメンバー数人で集まり、「もしかしたらここには俺たちが載ってたのかもしれないんだよなあ」と、出版社のホームページ上にアップされた「新入社員白書」みたいなものを恨めしく読みながら不味い酒