今回訳出したのは、the guardianに投稿されたダン・ハンコックの記事「ジェントリフィケーションX」である[1]。一読すればわかるように、この記事にはジェントリフィケーションの駆動局面とそれに対する抵抗の数々に関する考察が主に記されており、複数の重要な論点が提示されている。この文章では論者の力量不足もありその論点を網羅的に扱えるわけではないが、そのいくつかを参照しつつ、議論をすすめていきたい。 まず、記事の記述はジェントリケーション自体がいまや抵抗の重要なポイントとなったことを指摘しつつ、ヨーロッパにおける数々の抵抗運動について紹介している。そうした抵抗運動の紹介とともに、ダン・ハンコックはイギリスの地理学者ヴァスデーヴァンの議論を引用することによってジェントリフィケーションの促進要因の一つ、ツーリフィケーションという概念を提示している。ツーリスティフィケーション(touristif