タグ

ブックマーク / tanemaki.iwanami.co.jp (8)

  • 第4回 アルコール(3) 人間はなぜ酒を飲むのか?

    【連載】松俊彦「身近な薬物のはなし」(4) はじめに 前々回、前回と、アルコールには深刻な健康被害や社会的弊害があること、そして、それでいながら様々な規制政策が奏功しないばかりか、強硬な禁止法はときとして為政者の立場を危うくしかねないことを見てきました。 なぜ人間はかくもアルコールを欲し、また、執着してきたのでしょうか? 今回はそのことについて考えてみたいと思います。 生き延びるためのアルコール 遺伝子の突然変異によって得たもの アルコールの摂取は人類の進化を加速させた可能性があります。 その端緒となったのが、遺伝子の突然変異です。ジャーナリストのブノワ・フランクバルムは、著書『酔っぱらいが変えた世界史――アレクサンドロス大王からエリツィンまで』1のなかでこう書いています。「1000万年前にまずは私たちの祖先に遺伝子変異が起こり……アルコールにふくまれるエタノールをより速く分解(代謝)で

    第4回 アルコール(3) 人間はなぜ酒を飲むのか?
  • アルコール(2)人類とアルコールとの戦い

    【連載】松俊彦「身近な薬物のはなし」(3) はじめに アルコールは人類が遭遇した最古の依存性薬物ですが、人類はそのすばらしさとともに、早くから危険性にも気づいていました。 紀元前400~200年頃に編纂されたといわれる『戦国策』には、中国における酒の起源にまつわる伝説が記されています1。中国最古の王朝、夏(紀元前2070年頃~紀元前1600年頃)の始祖禹(う)王のもとに、北方異民族の儀狄(ぎてき)なる人物がやってきました。曰く、「穀物から酒なる飲み物を初めて造ったので、それを献上したい」というのです。禹は酒を一口飲んで、あまりのうまさと酔い心地に驚きました。しかし、すぐに我に返り、「後世、この美味にして陶然とさせる飲み物によって国を滅ぼす者が出るであろう」と述べ、以降、酒を断ち、儀狄を追放したそうです。 一方、古代ギリシアの都市、アテナイに住む人々は、「酒を断つ」のではなく「うまくつきあ

    アルコール(2)人類とアルコールとの戦い
  • 本当に有害な薬物とは?――松本俊彦「身近な薬物のはなし」

    【連載】松俊彦「身近な薬物のはなし」(1) 最大規模の害を引き起こす薬物 俳優やミュージシャン、あるいは、有名大学運動部の学生……社会で目立った活躍をする人々が違法薬物で逮捕されるたびに、テレビやネットニュースは連日その話題で持ちきりとなります。そして、必ず付せられる煽り文句は、「若者に薬物汚染拡大」「大麻が蔓延、検挙者増加」というものです。そうした報道に接するにつけ、いま日における喫緊の薬物問題は大麻や覚醒剤であるかのような印象を抱く方も多いことでしょう。 しかし、その印象は正しいのでしょうか? 自らも回復した依存症当事者である米国の依存症専門医カール・エリック・フィッシャーは、著書『依存症と人類:われわれはアルコール・薬物と共存できるのか』(みすず書房、2023)のなかでこう述べています。 「最大規模の薬害──依存症を含む──が、ほぼ必ず合法な製品により引き起こされるという事実は、

    本当に有害な薬物とは?――松本俊彦「身近な薬物のはなし」
  • 岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」

    第13回 あなたを憎まない人が、あなたを愛してるわけではない。──『白雪姫』 柳亭小痴楽「震災を経て学んだ視野の広さ」 第2回 ジブリ前史と『天空の城ラピュタ』の音楽 僕は、そして僕たちはどう生きるか(第5回) 2024年 夏──「佐藤正午という作家をとりわけ大切に思っていた」編集者への素直な気持ち 第8回 処方薬 医療へのアクセス向上が作り出す依存症 【特集】ク・ビョンモ/小山内園子 訳『破果』『破砕』 【特集】岩波新書『カラー版 名画を見る眼(Ⅰ・Ⅱ)』 キャンペーン企画「#君たちはどう読むか」

    岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」
  • 第5回 カフェイン(1) 毒にして養生薬、そして媚薬

    【連載】松俊彦「身近な薬物のはなし」(5) はじめに カフェインは、薬理学的には覚醒剤やコカインと同じ中枢神経興奮薬であり、その薬理作用はかなり顕著です。おそらく誰もが、コーヒーや紅茶を飲んだら、意欲や注意力、集中力が増したり、眠気や疲労感が緩和されたりといった、「ドラッグ効果」を経験しているはずです。 人類がカフェインと出会ったのは、アルコールと比べると、ずいぶんと最近の出来事です。興味深いことに、当初、物(カロリー補給源)としての役割を期待されていた酒とは異なり、コーヒーや茶といったカフェイン含有飲料は、最初から物とは明確に区別されてきました。そのことは、それぞれの飲み物の事との関係性から理解できます。「パンとワイン」といった慣用句表現からもわかるように、アルコール中飲料として料理と一体化しています。一方、コーヒーは完全に「後」の飲み物です。フレンチやイタリアンのディナー

    第5回 カフェイン(1) 毒にして養生薬、そして媚薬
  • Not Found|

    お探しのページは一時的にアクセスができない状況にあるか、 移動もしくは削除された可能性があります。 また、URL、ファイル名にタイプミスがないか再度ご確認ください。

    Not Found|
  • 特別寄稿エッセイ 若林恵「未来は静けさの中に」 | 若林恵『さよなら未来――エディターズ・クロニクル2010-2017』

    『さよなら未来――エディターズ・クロニクル2010-2017』刊行に寄せて、著者の若林恵さんがWEB岩波「たねをまく」に書きおろしてくださったエッセイです。 未来は静けさのなかに 若林恵 コモンズということばには「入会地」「共有地」という日語があてられるが、もっとひらたいことばでいうと「みんなのもの」ということになる。お爺さんが芝刈りに行くときの山はコモンズだし、お婆さんが洗濯に行くところの川もまたコモンズだ。現代の日常に即していえば公園などもそれに当たるはずだ。公共空間という概念と重なってはいるけれどニュアンスも射程もちょっと違う。コモンズは、なにも物理的な空間だけを指し示すものではないし、もっとひそやかで微妙なものを包合している。たとえば、イヴァン・イリイチという思想家・歴史家の文章には「Silence is a commons」という文章があって、「静けさはみんなのもの」という素敵

    特別寄稿エッセイ 若林恵「未来は静けさの中に」 | 若林恵『さよなら未来――エディターズ・クロニクル2010-2017』
  • 岩波書店 / 3.11を心に刻んで

    私たちは、2011年3月11日の大震災において被災された方々のことを心に刻み、歩みたいと思います。そして、どのような状況にあっても言葉を恃むことを大切にしたいと願い、ホームページ上での連載をはじめることにしました。過去から蓄積されてきた言葉に思いを重ねて書いていただきます。3カ月ごとの更新です。

    岩波書店 / 3.11を心に刻んで
  • 1