2024年6月1日、東洋大学で行われる藝術学関連学会連合のシンポジウムで発表する要旨です。http://geiren.org/news/2024/generative-ai.html タイトル「人間とは何かとAIは問う」 生成系人工知能が生み出す文書やイメージを、熟練した人間が制作したそれらから、結果を見ただけで区別することはできるだろうか? 言い換えれば、機械による出力を知識や経験に基づく人間の手作業から決定的に見分ける「眼力」や「鑑識眼」といったものは、存在するのだろうか? もしそれが客観的なテストという意味なら、この問いに対する私の答えはノーである。 だがこのことは、人工知能が人類やその文明にとって深刻な危機だといったこととは、何の関係もない。AIがやがて人類に取って代わるという予言、あるいはそれが人類文明に深刻な脅威をもたらすことを懸念したり、その開発をしばらく中止すべきだといった