1929年にライナス・ポーリングはハイトラーとロンドンによる水素分子の共有結合の描像から、共有結合が量子力学的共鳴に基づくものという描像を提唱した。すなわち水素分子の全電子の波動関数Ψ(1, 2) = c1φHa(1)φHb(2) + c2φHa(2)φHb(1) を水素原子Haに電子1が所属し水素原子Hbに電子2が所属する状態と、水素原子Haに電子2が所属し水素原子Hbに電子1が所属する状態とが共鳴しておりそれにより安定化が起こっているものと考えた。ライナス・ポーリングはこの描像を発展させて様々な結合の様式について、また化合物の安定性、反応性について説明していった。 例えば極性結合については無極性結合している状態A-Bとイオン結合している状態A+-B-の共鳴によって説明した。そして、このように共鳴に寄与しているそれぞれの状態を表す構造を共鳴構造(有機電子論では極限構造と呼んでいた)、共鳴
