深夜、自室で何気なくTVを観ていたら、「R30」(TBS系列)という番組にオウケイウェイヴ(Q&Aサイト「OKWave」を運営)社長の兼元謙任氏が出ていた。学生時代から「世のため人のため」になる理想主義的デザインを目指したが、仲間に裏切られ、妻には出て行かれ、東京にノートパソコン一つで出てきてホームレスのように暮らしながら、一から再起した人だ。 僕が彼を取材したのは「ITセレクト2.0」誌の2005年5月号だから、もう2年以上も前になる。現在の彼の会社の年商は約6億円で、昨年6月には名証セントレックスに株式上場を果たしたという。 彼の印象は、理想に向かってしまう感情の大きさと、そこに何かとても大きな矛盾を抱えているためのエネルギーみたいなものだった。彼の取材が印象的だったのは、彼が在日韓国人であることをカミングアウトした上で取材に応じた直後だったからで、僕も慎重に自分を律しながら取材した。