「友達になろう!」 車内に声が響いた。声の主を見る。四方山が両手をぎゅっと握りしめ、辛そうに眉を歪めている。もう一度「私と、友達になろう!」と言った。 「でも、僕、爆弾テロ犯ですよ。おじいさん、警察なんじゃないんですか?」 「元警察だ。それに、君は一人なんだろ? 友達がいないんだろ? 家族といても息苦しいんだろう? だったら私と友達になろう。将棋を一緒に指してくれる相手が欲しかったんだ」 「将棋、知らないですよ」 「私が教えてあげるから」 「そんな、僕なんか」 「君は、生きていていいんだよ」 友達になろう、俺には何故そう言えなかったのだろうか。困っている人がいたのに、何故声をかけられなかったのだろうか。俺も「俺とも友達になろう。ライブをするからさ、聞きに来てくれよ」と伝えると、バスジャック犯だった岡本も「俺でもよければ、話を聞くぜ」と声を飛ばした。 咲子さんが、小突いてくる。よかったね、と
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