都市下層の若者のあいだでスマートフォンが普及しはじめるのは、2010年代に入ってからのことだ。現在、中国製の安価なスマートフォンの輸入に伴い、猛烈なスピードで浸透しつつある。 このスマートフォンの登場は、タンザニアの人びとにとって、偽物やコピー商品の問題をつよく認識させることになった。2000年代には中国製品のコピー商品や偽物がタンザニア市場を席巻し、2010年には「チャカチュア(Chakachua)」という「まがいもの」を意味する俗語が流行語になった。 正規ものが手に届かないから偽物が流行る なかでもスマートフォンはハイテク機器であり、見た目で品質を見破るのは難しいうえ高額である。スマートフォンが登場した結果、インターネット機能のないケータイは正規品が最安値で2万シリング(約1200円)前後でも手に入るようになったが、スマートフォンは最低でも10万シリング(約6000円)はかかる高価なも