日本の大学で授業を担当してから早くも10年が過ぎた。最初に担当していた科目の授業名は「少子高齢化時代の社会保障」で、主に日本の少子高齢化の現象と社会保障制度を教える授業であった。当時は日本に来てから4年しか経っておらず、何より日本語に対する不安が大きかった。「授業中、日本語を間違えたらどうしよう」、「私の日本語が聞き取れなかったらどうしよう」、「学生から難しいことを聞かれたらどうしよう」等心配で、授業前日には壁を相手に何度も授業を繰り返す練習を行ったことが未だに記憶に新しい。今、そのときを振り返ってみると、懐かしさよりも恥ずかしさがこみ上げる。何よりも、下手な日本語を我慢して聞いてくれた、当時の学生の皆に心から感謝を申し上げたい。 教育歴10年目になった今は授業の不安感からはある程度解放されたものの、最近になってもう一つ解決したい悩みができた。それは「どうすれば学生のやる気を出させ、楽しい