男性助教が1人で研究する部屋。暖房はなく、私費でヒーターを置いた。段ボール箱には、かつて指導した学生が作製した実験試料が保管されている=札幌市北区で2024年3月、鳥井真平撮影 頭に浮かんだのは、いてつく冬のオホーツク海だった。 北海道大理学研究院の40代の男性助教は2022年4月から、化学部門の建物の一室でたった1人、研究を続けている。 部屋の広さは36平方メートル。実験するには十分だが、備えつけの暖房がない。外気が直接入りこむ通気口があり、冬は氷点下の冷気が押し寄せる。 大学が教員一般に支給する経費が男性には支払われていない。電源延長コード、インターネット用の機材、実験試薬を運ぶ台車、実験ノート……。全て私費で買いそろえた。3台のオイルヒーターも自腹だ。 部屋「期限」に追い詰められ 男性は無期雇用の教員だ。本来なら任期を気にせず研究を続けられる身分。ところが21年8月、部屋の使用を「2