自分が立ち食い大衆そばを食べ歩くようになったきっかけは、中1の時、隣の席の女の子に「アンタバカなの? 頭の中空っぽ、空洞化!」とコケにされたことだった。それ以来、「俺って何?」(三田誠広の小説は『僕って何』)と自分探しを始め、たまたま大人たちが駅そばを食べているのを見て強い興味を持った、というわけである。まあ、その女の子は現役で東大文一に合格し、今はどこかの大学で教授をしているというから、60歳を過ぎた今でも反論すらできないのだが。さて、今回は自分のスカスカの脳細胞の話ではなく、実質のビッシリつまった純白の「豆腐をのせたそば」の話である。 そばと豆腐の製法の共通点 豆腐は日本人から特に愛されている食べ物の1つである。その起源は中国とされており、遣唐使や鎌倉時代の僧侶が作り方を持ち帰ったという説がある。室町時代には各地に広まり江戸時代初期には木綿豆腐が、元禄年間には絹ごし豆腐が人気となり日常