「いまの日本に足りないのは需要なのだから、供給力を高めてもしょうがない」という考え方がある。いわば「需要強化論者」だ。例えば菅直人首相がそうである。 需要強化論者は、供給力をこれ以上高めてもしょうがないと考えているので、生産性の上昇やイノベーションが重要であるとは考えない。 しかし、生産性の上昇やイノベーションはあらゆる意味で重要である。 経済成長とは、つまるところ生産性の上昇である。生産性の上昇とは、「どのくらい働いて、どのくらい富を得られるか」の効率が上がることだ。 「生産性を上昇させても供給が過剰になるだけで、需要が増えないから意味がない」という需要強化論者に限って、日本企業の長時間労働を批判していたりする。しかし、生産性の上昇やイノベーションこそ、長時間労働を減らすものだ。私から見れば、日本企業で長時間労働が常態化しているのは、生産性の上昇やイノベーションがむしろ抑圧されているから