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ブックマーク / www.anlyznews.com (57)

  • 問題は労働市場の摩擦、つまり高齢者の働きぶり

    65歳までの再雇用義務化に関する労働経済学者の安藤至大氏のツイートに、労働政策学者の濱口桂一郎氏が「質を取り違えた問題設定」と批判している(EU労働法政策雑記帳)。 安藤氏は労働市場の摩擦もあり、この摩擦が短期的な雇用量を左右してしまう可能性を指摘しているだけに思う。例えば、高齢者の再雇用義務化で老害が発生して労働生産性が低下するのであれば、雇用水準が逆に低下するケースも考えられる。 1. 摩擦の無い労働市場の短期的状況 労働市場の需給均衡でミクロ経済学的に摩擦の無い状態を図示してみよう。 現在は労働供給曲線がS1-S1、労働需要曲線がD1-D1、均衡がE1にあるとする。ここで65歳まで労働供給されるので労働供給曲線がS2-S2にシフトし、均衡がE2になる。長期的には賃金も回復すると思われるが*1、ここでは議論を簡略化し、短期的には賃金が下がり雇用量が増えるであろうと言う議論にする。 2

    問題は労働市場の摩擦、つまり高齢者の働きぶり
  • 反原発デモに中核派と革マル派と全共闘と労組と9条の会と連合空港反対同盟などが満載の件

    官邸周辺などでの反原発デモが続いている。海外メディアでも大きく取り上げられているようだ(BLOGOS)。 マスコミによると「インターネットなどの呼びかけで集まった大勢の人たちが参加」と言う事なのだが、掲げられたノボリを見ていると、中核派や革マル派、全共闘、労働組合、はては9条の会や連合空港反対同盟などが参加しており、政府政策に反対する政治集団の見市化している。 1. 中核派 中核派の機関紙『前進』のサイトによると、「怒 福島隊」のノボリは中核派のようだ。彼らはメッセージ性があるのか「革命的共産主義者同盟全国委員会」を名乗ってはいないようだが、彼らと懇意にしている「子ども福島」は放射線汚染を過度に危険視する団体として知られているようだ。

    反原発デモに中核派と革マル派と全共闘と労組と9条の会と連合空港反対同盟などが満載の件
  • 日本は労働市場が硬直的だから労働生産性が低い?

    少し前の記事だが、経済評論家の池田信夫氏がTyler Cowenのブログで紹介していたChristopher Phillip Reicherの論文から、日経済の問題は労働市場の硬直性が原因だと主張していた(アゴラ)。 思い込みがあるためか、CowenやReicherの主張と少しづれていて、解釈がおかしいように感じる。雇用規制については議論がまだまだ続くであろうし、池田氏のような主張も多いであろうから、問題点を確認しておこう。 1. Reicher(2011)は一人当たりGDP成長率を分解 Reicher(2011)を紹介すると、1970年~2007年のマクロ・データにHPフィルターとFujita-Ramey分解をかけて、一人当たりGDP(Y/L)成長率に対する労働生産性(Y/H)、一人あたり労働時間(H/E)、有職率(E/LF)、労働参加率(LF/N)の寄与率を計算している。結論は、欧州

    日本は労働市場が硬直的だから労働生産性が低い?
  • 公明党に教えてあげたい軽減税率以外の方法

    ► 2024 (11) ► 3月 (7) ► 2月 (3) ► 1月 (1) ► 2023 (71) ► 12月 (7) ► 11月 (2) ► 10月 (4) ► 9月 (10) ► 8月 (6) ► 7月 (6) ► 6月 (8) ► 5月 (5) ► 4月 (2) ► 3月 (6) ► 2月 (9) ► 1月 (6) ► 2022 (88) ► 12月 (3) ► 11月 (3) ► 10月 (7) ► 9月 (5) ► 8月 (9) ► 7月 (8) ► 6月 (9) ► 5月 (8) ► 4月 (8) ► 3月 (10) ► 2月 (11) ► 1月 (7) ► 2021 (64) ► 12月 (5) ► 11月 (6) ► 10月 (9) ► 9月 (4) ► 8月 (7) ► 7月 (10) ► 6月 (2) ► 5月 (3) ► 4月 (3) ► 3月 (6) ► 2月 (

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  • 社会学者・古市憲寿氏の経済成長論をフォローする

    起業家の増加が経済成長をもたらすと言う社会学者・古市憲寿氏の主張(*1)に対して、『自分でアップルみたいな会社作って経済を回したらいい』という言い方が悪いのだと思うが、否定的なコメントが多くされている(togetter)。古市氏の主張のフォローを試みてみよう。 まずは「経済成長」に関して、一般的な話を整理してみる。 経済成長は、一般には生産量の増加として議論される。生産量が多ければ、消費が増えて、幸せになると言う論理で肯定される。 経済成長と言うとき、一般には配分や余暇は考えていない。議論の契機となった雑誌を発行している、社会的弱者のサポートを目的としたNPO法人POSSEの活動には直接関係がない(*2)。 歴史的には経済成長にともない、貧乏人も消費が増えているし、労働者の余暇や労働環境も改善している。分配するパイが増えれば、貧乏人も得。 経済成長を起こすには、技術革新か資・労働投入量の

    社会学者・古市憲寿氏の経済成長論をフォローする
  • 関越道バス事故で分かること

    関越自動車道でツアーバスが防音壁に衝突し、乗客7人が死亡した事故だが、連日の報道はツアー会社やドライバーの素性、そして規制緩和の影響についてが多くなってきたようだ。しかし、ツアー会社の違法状態は問題ではあるが、規制緩和が事故を増やしているとは言えなさそうだ。 メディアとしては、最初にガードレールの施設工事の問題などを報じてしまったのでネタ切れ気味なのかも知れないが、質的な問題からは段々と離れていっている。 1. 規制緩和は関係ない 規制緩和後のバス事故の変化を確認したブログによると、2002年の改正道路運送法後に事業者数や輸送人員数が大幅に伸びている一方で、バスの事故件数や死傷者数は微減している。バックカメラの普及や安全運転の推進と言う要素をコントロールしたら増えているのかも知れないが、大勢に影響を与えているとは言えない。自動車はドライバーの健康状態などで偶発的に事故が起きる面もあり、不

    関越道バス事故で分かること
  • コーヒーと搾取とブロガー

    店でのコーヒー飲料の価格に占める原価のうち、コーヒー豆が微々たる額である事が話題になっていた(facebook)。 単にサービスが高コストであるだけの話で、コーヒー農家に利益を持たせようと言うフェアトレードを正当化する数字では無いのは確かだ(やまもといちろうBLOG)が、定期的にこの話題が持ち上がるのは興味深く、また、全般的に思考が足りない人が多いのが気に障る。 1. 『搾取』って何? 元ネタ画像に添えられたネタ提供者自身のコメントに「どの業界でもたいてい個人が稼いだお金が給料として返ってくるころには搾取されきってます」とあるので、誰かが誰かを搾取していると言う主張なのだと思う。今回のケースに限れば、飲店がコーヒー農家を搾取していると言う主張であろう。しかし、ここで言う“搾取”とは何であろうか? 2. 強制労働/奴隷労働は『搾取』 Wikipediaの見ると、他人の労働の成果を無償で

    コーヒーと搾取とブロガー
  • 非正規雇用が増えた一つの理由

    非正規雇用の増加が晩婚化や少子化などの問題を引き起こしていると言う怪しげな風説が流布されている割に、非正規雇用者が増えた理由の分析は十分にされていないように思える。 斎藤(2006)を見ると、労働者側のライフスタイルの変化、企業側の賃金抑制を理由にしている。しかし、労働者が不安定で低賃金の職場に我慢しないと、企業側が望んでも非正規労働者は増えない。反フェミニスト的労働を好む女性にだけではなく、男性にも非正規労働者は増えている事を良く説明しない。 1. 検証仮説:産業構造要因説 近年特に増えた理由は、直接には1999/2004年の労働者派遣法の改正が大きいとは思うが、制度を整えたからと言って、それが利用されるとは限らない。背後には、その利用を支える要因があるはずだ。 経営者の性格が悪くなったなどの色々な仮説があると思うが、平成18年版労働経済の分析では否定された産業構造要因説を検討してみよう

    非正規雇用が増えた一つの理由
  • 若年失業率が深刻だと言うけれど

    リーマンショック後に若年失業率が上昇しており、就職氷河期などと結びつけた話がされている(時事ドットコム)。データの見方に、少し誤解があるように思える。 実は景気悪化で内定が出る時期は大きく遅れる傾向があるのだが、内定率は90年代後半からずっと90%台で推移している(図録▽就職内定率の推移(大卒))。高卒は2003年の74.4%が最低で、2011年は83.5%だ(厚生労働省)。バブル経済のときの内定率とは行かないが、大半の若者が就職できている状況は変わらない。 そして若年失業率だけが高いわけではない事に注意する必要がある。以下は性別・年齢別の失業率の推移だが、いつの時代も若者の失業率が高い事、15~24歳の失業率が高い事が分かる。15~24歳と言う事は、高卒・専卒・短大卒の労働者が多いと言う事だ。大卒が労働市場に参入して来るようになると、状況が大きく変わる。 若年失業率が将来にそのまま影響

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  • 韓国電力不足で得られる教訓と衝撃

    ソウルをはじめ韓国各地で15日午後3時半頃から大規模な停電が発生、交差点の信号が消えたり、エレベーターに人が閉じこめられたりするなど混乱が広がった(読売新聞)。 韓国電力市場が発送電分離されており、安く電力が供給されていた事から、発送電分離が議論されはじめた日の電力政策に与える影響も少なくない。発送電分離が電力需給の最適化をもたらすとは限らない事は、より広く認識される事になるであろう。 1. 発送電分離され、低い電力料金の韓国電力市場 韓国の電力会社は、発送電分離されている。発電会社と、韓国電力公社(KEPCO)と、小売会社が電力取引所で電力の売買を行い、需要者へ供給を行っている。なお、原子力発電はKEPCOの子会社が行い、KEPCOに直接電力を売却している。制度的には比較的先進的だ。 電力価格も、2006年で家庭用が34%、産業用が39%ほど日と比較して韓国の方が安い(経産相)。その

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  • 原発は最も廉価な発電方法

    経済・環境ジャーナリストの石井孝明氏の原発は経済性に優れていると主張するエントリーに、原発のコストは低くなく、むしろ太陽光発電を推進すべきだと反論するエントリをスクリプト言語Perlの日語モジュールの整備で著名な小飼弾氏が書いている。小飼弾氏は70年代、80年代に作成された原発の設置許可申請書の発電原価を元に議論しており、2011年の現在には不適切となっているので、問題点をまとめておきたい。 1. 最新設備で比較すると、原発は最も廉価な発電方法 石井氏の指摘が概ね妥当であるが、原発は最も廉価な発電方法であることを再確認しよう。電気事業連合会(2004)『モデル試算による各電源の発電コスト比較』によれば、割引率3%、運転年数40年、設備稼働率70%で評価すると、原発が最も発電原価が安い。なお、モデル・プラントは比較的新しい設備となっているため、最新設備での比較と考えてよい。また、後述するが

    原発は最も廉価な発電方法
  • 石炭火力の大気汚染を語る前に知るべき7つのこと

    原発が停止したら石炭火力発電所の稼動が高まり、大気汚染で死亡者数が増加するという主張がある。間違えとは言えないが、因果関係が遠い素人的な意見だ。 米国では大気汚染で年間に10万人の死亡者がおり、そのうち23,600人が石炭火力発電によるものだそうだ(EPI)。米国の石炭火力が大気汚染を引き起こしているのは間違いない。しかし、日の原発停止が石炭火力の稼動率をあげて大気汚染で死亡者数を増加させると言うのは、以下の理由で適切ではない。 原発の代替は石炭火力とは限らない。火力発電では現在でもLNGの比重が高いし、LNG火力はエネルギー単価が安く、大気汚染が少なく、出力調整運転が容易だ。石炭火力が主に増える理由がない。 日の石炭火力は脱硫装置などの改良によって浄化処理が進んでおり、熱効率も高いので、大気汚染の程度が低い(J-POWER)。 日米の火力発電所の発電量あたりの汚染は、日が米国より一

    石炭火力の大気汚染を語る前に知るべき7つのこと
  • 藤沢数希は裁定取引・価格操作・独占市場の意味を学ぶべき

    変なエントリーが流れて来て、目にとまったので変な部分をメモしておきたい。藤沢数希氏のブログなのだが、孫正義氏が再生可能エネルギー促進法で日のデータセンター(iDC)の電力コストをあげ、韓国のiDCの競争力を高めようとしていると主張している。冗談としては面白いのだが、用語の扱いや、裁定行動への認識が適切ではない。 1. 問題があるとするなら、裁定取引ではなく価格操作 韓国から安い電力を購入して、日で高く売却できれば裁定取引になる。安い韓国のiDCで日企業にサービスを行うのも、内外価格差を利用しているので裁定取引になるであろう。しかし、多くの輸入は裁定取引の結果のようなもので、特に批判される点はない。 藤沢数希氏が問題にしているのは、再生可能エネルギー促進法を推進することで、内外格差を故意に作り出そうとしている部分であろう。これは裁定取引ではなく、価格操作と言う。寡占市場で発生するカルテ

    藤沢数希は裁定取引・価格操作・独占市場の意味を学ぶべき
  • 孫正義氏のメガソーラー計画は農業利権者と結託する?

    孫正義氏率いる「自然エネルギー協議会」のメガソーラー計画「電田プロジェクト」に、経済学者を自称する池田信夫氏が「農業利権をい物にするソフトバンク」で難癖をつけている。無理のあるプロジェクトだが、池田氏の難癖の付け方が経済学的では無いので、注釈を入れておきたい。 耕作放棄地(写真, flickrより転載)に対する事実認識に問題があるようだ。 1. 耕作放棄地を無償で使える? 「SBにとっては耕作放棄地を無償で使うことによって用地買収が必要なくなり」と当然のように書いてあるのだが、経済学的には当然ではない。そもそもタダで貸すとは誰も言っていない。 地権者がソフトバンクに幾らで貸すかが問題になる。転作・休耕ではなく耕作放棄になっているので、現在の土地からの収益はゼロと見なせる。ソフトバンクが独占事業者であれば、タダ同然の金額で借りることができる。 ソフトバンクは独占事業者になれるのか。それが良

    孫正義氏のメガソーラー計画は農業利権者と結託する?
  • 三陸沖で浮体式洋上風力発電の実証実験を

    浮体式洋上風力発電の発電コストが、2020年までに$0.08~0.1/kWh(約6.4~8円/kWh)になる試算が出て来た(Windpower Monthly)。従来の洋上風力発電は、陸上風力発電よりも高コストなのが問題だったが、浮体式は基礎工事が無く軽いため、港で建設して移動・設置する事ができるためだそうだ。40円/kWhを超える太陽光発電よりはずっと廉価で、原子力に届かずともLNG/石炭火力に匹敵する発電コストになる。 現在動いている浮体式洋上風力発電は、2.3MWタービンを積んだHywindだけで、沖合10Km・水深220mの地点に設置されている。2010年は7.3GWh(利用率36%)の発電実績を記録した。総工費は6200万ドル(約50億円)だそうだ。日の海はすぐ深度が深くなるため、従来型の洋上風力発電は適していない。しかし、沖合10Km・水深220mであれば、6m/sや7m/s

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  • 日本は資本主義が通用しない国?藤沢数希の勘違い

    ブログ金融日誌の藤沢数希氏が、日は資主義が通用しない国だと村上ファンド代表の村上世彰氏の有罪確定を批判している(アゴラ)。 日の資市場の有り方への批判はともかく、同事件に関しては欧米型の法規制が適切に運用された結果のように思えるので批判したい。また、東京地裁の判決理由は覆っており、高裁はより慎重に、最高裁はより明確に規制を適用しているため、藤沢批判は勘違いに思える。 金融日誌には以下のような注意書きがあるのだが、ウェブ上ではそこそこの著名人なので、あえて藤沢数希氏の指摘を批判してみたい。 1. 資市場には情報の公平性が求められる 藤沢氏を批判する前に、インサイダー取引が、なぜ違法なのかを確認したい。 資市場は売買ゲームの側面があり、勝った負けたはプレイヤーの責任である一方で、プレイヤーが持つ情報を等しくするという非現実的とも言える指針がある。一部の関係者が特別な情報で勝ち続ける

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  • JBPRESSの現場自衛官の声にある疑問

    JBPRESSに「災害派遣、現場自衛官から上がる悲痛な声」という、“現役自衛官・藤井源太郎”氏の書いた記事が掲載されている。 内容が真実であれば、政府の災害対策に問題があると言う事になるが、文面を読む限りは詐称を疑いたくなる内容だ。 1.“現役自衛官・藤井源太郎”氏の記事の内容 記事の内容を列挙すると、以下のようなものだ。一見すると、なるほど、ありそうな話である。 被災地(三陸海岸?)の治安が悪化している。窃盗行為が多数。 活動に必要な物資が不足している。抗生物質、ヨウ化カリウム、携帯無線機、懐中電灯、重機、放射線防護服。 交代部隊が確保できていない。 人員移送に問題。陸路で東北と九州を何度も往復する自衛隊員もいる。 装備品が役立っていない。原発敷地内のがれき除去用の74式戦車は役立っていない。 自衛隊に災害救助の予算はほとんどない。 「トモダチ作戦」の費用は半分以上が我が国負担になる。

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