労働はいつから「苦役」になったか 労働を意味するフランス語のトラバイユは、ラテン語のトリパリウムを語源としている。元々は重い荷物を載せた車輪がきしむ音からきた言葉であり、古代の奴隷たちの労働をさす、労苦、苦役というような意味で使われるようになった。 といってもヨーロッパの人たちが、労働を単なる苦役だと思っていたわけではない。 実際に働いている人たちが書き残した文書としては、古くは石工の書いたものが残されているが、それを読むと労働には苦しいことも楽しいことも達成感もあって、けっして労苦だけだと感じていたわけではなかった。 おそらくそれが、中世までの普通の人たちの感覚だろう。 ところが労働=労苦というとらえ方が、近代になると甦ってくる。 産業革命が起こり、近代的な労働者が生まれてくると、労働者のなかからは自分たちの労働を労苦だととらえる人たちがふえてきた。その原因はヨーロッパの近代社会が、階級
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