『不安な個人、立ちすくむ国家』(経産省若手プロジェクト/文藝春秋) 2017年5月18日に開かれた第20回産業構造審議会総会で、「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」という資料が配布された。 経済産業省の若手官僚30名によって作成された全65ページの資料には、少子高齢化や貧困、活躍の場のない若者など、現在日本が直面する問題がまとめられていた。この資料のPDFが公開されるや大きな反響があり、これまでに150万以上もダウンロードされ、読んだ人たちからは賛否両論、様々な意見が噴出した。各メディアでもニュースとして取り上げられたので、ご記憶の方も多いことと思う。官製の文書というのは往々にして難解であり、「わからせる気はないのか?」という仕上がりになっている場合が多い。なので霞が関用語で言うところの「ペーパー」が、これほど多くの人に読まれることは異例なのだ。 しかし