今年のトップニュースはマイナンバーの紐付けに相次ぐトラブルで、政府が総点検本部を組織して取り組むことになったが、単に人的ミスとは片付けられない問題をはらんでいる。第4位のAIのセキュリティリスクや第10位のパスキーの採用など、新たな切り口のニュースも出てきてはいるが、全体としては相変わらずのニュースで既視感が強いのは、際立つような重大事件等がなかった証であろう。プラス思考で考えれば、これは日本のサイバーセキュリティへの取り組みはそこそこうまくいっている証左とみることもできる。サイバー空間が社会に浸透して一体化してきた結果、それなりに事件事故は起こるものの、安定してきていることを示していると安心してもいいのかもしれない。 しかし、本当だろうかと疑いの目を向けてみると、今年のニュースには、「だんご三兄弟」とも揶揄されそうな事件・事故が並んでいる。これらのニュースの背後を深掘りしてみると、サイバ
2011年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書 ~個人情報漏えい編~ (セキュリティ被害調査ワーキンググループ) 1.はじめに JNSA セキュリティ被害調査ワーキンググループによる個人情報漏えい事件・事故(以降「インシデント」という)の調査分析は今回で10回目となる。 JNSA セキュリティ被害調査ワーキンググループと情報セキュリティ大学院大学 原田研究室、廣松研究室では、2010年と同様に、これまでの調査方法を踏襲し、2011年に新聞やインターネットニュースなどで報道された個人情報漏えいインシデント(以下、インシデントという)の情報を集計し、分析を行った。 この調査データにもとづいた、漏えいした組織の業種、漏えい人数、漏えい原因、漏えい経路などの情報の分類、JOモデル(JNSA Damage Operation Model for Individual Informatio
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