「勉強しろ」は逆効果 「ゲームは子どもに悪影響」、「ご褒美で釣るのはいけない」など、教育問題となると、なぜか一億総評論家となる。井戸端会議ならまだしも、これが教育政策となると目も当てられない。自分が関わった教育体験を持ちだして、教育政策を論じる政治家がいるが、これなどは百害あって一利なしである。 本書はこういった巷(ちまた)に溢(あふ)れる教育評論家や政治家の妄言を一刀両断し、データに基づいて教育を科学的に論じる経済学の啓蒙(けいもう)書である。 厚生労働省の「21世紀出生児縦断調査」を用いた5万人以上の子どもの10年超にわたる追跡調査の結果が興味深い。例えば、親にとって耳が痛いことだが、親が子どもに「勉強するように言う」のはあまり効果がないどころか、母親が娘に「言う」のは逆効果だという。一方、「『勉強を見ている』または『勉強する時間を決めて守らせている』という(中略)手間暇のかかるかかわ
![『「学力」の経済学』 中室牧子著 評・松井彰彦(経済学者・東京大教授) : ライフ : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/21ce3ee1c3df1293cbebde2cdb69844b52038708/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.yomiuri.co.jp%2Fimg%2Fyol_icon.jpg)