前編 そんなこんなでカップルご成立した我々でしたが、受験生の夏休みに遊んでいる暇はありません。特に僕は今まで遅れを取り戻さなければならないのです。確かにあの塾講師が言ったとおり、それからは集中して勉強するようになりましたが問題は彼女です。いや、カノジョというのが正しいでしょうか。問題はカノジョです。うふふ。学校が休みになってしまっているため、カノジョに会うためには直接連絡を取り合わなければいけません。しかしその頃は携帯電話がこれから普及しようとし始めていた頃で、広末涼子のCMでポケベルが若者に浸透し始めるのもこれより2,3年後のこと。連絡を取るのには直接電話するしかありませんでした。緊急連絡網を女子に回すだけでも受話器がベッショリになる僕でしたが、告白したときの緊張を思い出すと不思議と勇気が沸きました。 電話をかけたのは告白から1週間ほど経った日のこと。電話に出たのは彼女の小学生の弟でした
中学校2年生に上がった春、僕は恋をしました。一目惚れでした。 新学期になりクラス替えの発表が行われた時のこと、合格発表にも似たクラス替えの掲示の前で同級生たちが一喜一憂しているのを横目に、ろくに友人がいなかった僕はどのクラスになったのかだけを確認して教室に向かいました。そのとき、不安そうな顔をしながら掲示されていた体育館の壁に向かっていく彼女に僕はすれ違ったのです。一瞬だけ見た彼女の顔に、僕は胸の奥が鉄の塊に押し付けられたような感覚を覚えましたすぐさま振り返り、そのまま体育館の壁に向かっていく彼女のことを目で追っていると、彼女は僕と同じクラスの掲示の前で立ち止まりました。鉄の塊はすでに鉛に変わっていました。 彼女のことについて書くと、彼女の名前は松本さん。後々になって気づくことですが、松本さんは決してもてるタイプではなく、クラスではどちらかというと目立たない方。ちょっと天然ボケでクラスの中
居酒屋にて 昨日、上司に話があると言われ、定時よりも早く会社から連れ出されました。都内某所の居酒屋で席に着くと上司が突然「お前最近たるんでないか?」と言い出しました。理由は先日僕が会社に遅刻したことなんですが、職業柄定時はあって無いようなものだし、上司自体毎日会社に午後になってやって来ては夕方には帰る実働4時間の繰り返しだったので、一回だけ寝坊で20分程遅刻したことをくどくどで怒られていることを腹が立つよりも不思議に感じました。よくよく話を聞いているとどうやら上司はその日まともに会社に来ていなかったことを専務にかなりきつく言われたようで、その際僕がいつもひとりで遅くまで残って仕事をしていることを専務に引き合いに出されたことが気に入らなかったようでした。まあ実際僕は遅くまで残っていてもこの日記を書いているだけのことがほとんどなので、専務は完璧に僕に騙されちゃってるわけなんですが、とにかく専務
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