アジ研の渡邉さんを中心にして,多くのアジ研研究者を組織した産業研究の集大成が出版されました。本書の骨格についてはすでにアジ研の夏期公開講座(内容については前のエントリココを参照)で公開されていましたが,研究会の成果の全体像が本書で明らかになりました。(ご恵投ありがとうございました。) 本書の主張は 中国産業の特徴は「旺盛な参入と低い価格」である というものです。もちろん詳細な分析がされているのですが,主張はシンプルなので非常に読者に伝わりやすいです。 まず,中国はインドと比べて産業内の企業数が多く,企業シェアが小さいです。中国は日本と較べても上位企業の市場集中度は低いですし,ブランドシェアも低いという事実があります。 中国政府はこのような状況を「規模の経済が発揮できない」と批判的に見ていましたが,編者はこれを「旺盛な参入と低価格」として積極的に評価しています。 それではなぜ旺盛な参入と低価