「・・・でもそれは退職勧奨だろ。どうしても本人が辞めないと言ったらどうするんだ。解雇か。」 「そんなことできるわけないだろ。あくまでも本人が辞めるように説得するんだ。応じるまで何度も面談に呼ぶ。何度も呼んで、いかに自分が会社にとって不要であるかを遠まわしに何時間かかっても説得する」 「それでも応じなかったら?」 「このままではろくな未来が待っていないことを教える」 彼が言うにはこうだ。退職勧奨に応じれば早期退職金も出る。割増の退職金だ。それでもこのままあと10年会社にしがみついて、給与を10年分もらってからさらに退職金を受け取る方が有利だが、割増の退職金をもらって、そのあと10年安くても、たとえ月収10万円でもいいから再就職すれば、あるいはこのまま会社に残った場合よりも計算上は収入で上回るか悪くてもとんとんになる。そのあたりは最初から計算されて、この「罠」は組み立てられているのだ。 「でも
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