裁判官というと,子どもの頃から勉強がよく出来て,学業優秀・品行方正というイメージがあるようですが,私はまったくの劣等生でした。 といっても,私の卒業した高校は,文武両道がモットーの伝統ある名門の進学校でした。東大や京大に進む卒業生も多く,社会の様々な分野でいわゆる「エリート」として活躍しておられます。 そうした進学校の劣等生という立場は大変,辛いもので,実は私はその学校の卒業生であることをまったく誇りに思うことができず,公式の同窓会といった催しに出席したことはありません。おそらく,今後もないでしょう。 もちろん,楽しい思い出もいくつかはありますが,それよりもつらい思い出の方がはるかに多いのです。 例えば,数学の時間。 教師は,時間の初めに前の黒板を大きく4つに,更に教室の後ろの黒板を3つに分け,それぞれのところに問題番号を書き,生徒を指名します。指名された生徒は,問題集のその問題番号の解答