<初めに断っておきたい。 この手記は、無罪を訴えるためのものではない。もちろん自らの無罪を信じている。だがそれは、これから行われる法廷の場で争うべきものである。 【写真】車椅子に乗せられ拘置所を出る角川歴彦氏(80) 今回、保釈中の身でありながら筆を執ったのは、「人質司法」という問題を、自らの経験から指摘したいと考えたからだ> こう訴えるのは前KADOKAWA会長の角川歴彦氏(80)である。角川氏は昨年10月、東京五輪のスポンサー契約を巡る問題で、東京地検特捜部に贈賄の罪で起訴された。以来、226日間にわたり東京拘置所に勾留され、ようやく保釈が認められたのは2023年4月末のこと。現在、公判を待つ身だ。 その角川氏が今回、「 文藝春秋 」11月号(10月10日発売)に、思いの丈を綴った手記を寄稿した。保釈中の人物がメディアに登場し、事件について記すのは極めて異例のことだ。 ウェスティンホテ