今回の連載では、発達障害の学生支援に力を注ぐ七つの大学の実践を報告した。「大学全入時代」が到来する中、こうした学生を高等教育の場でどのように支援していけばよいか。大学入試センターで、入学者選抜における障害者支援を研究する上野一彦特任教授に話を聞いた。 ――大学に進学する発達障害の学生は増えているのか。 「日本学生支援機構が全国の大学などを対象に実施する実態調査によると、2009年5月1日現在で、発達障害の診断書がある458人の学生が、174校に在籍していた。診断書がなくても、発達障害と推察されて教育上の配慮が行われている学生も699人おり、診断書のある学生の約1・5倍いた。両者を合わせると1157人で、前年より500人増えている」 ――発達障害の学生に対して、センター試験では配慮が行われているのか。 「特別措置を申請できる障害種別はこれまで、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱の規定しかな