2012年8月1日、法制審議会会社法制部会において会社法制の見直しに関する要綱案(以下「要綱案」という。)が確定した。 1 要綱案の確定及び附帯決議の採択について 2010年、千葉景子法務大臣(当時)から、「会社法制について、会社が社会的、経済的に重要な役割を果たしていることに照らして会社を取り巻く幅広い利害関係者からの一層の信頼を確保する観点から、企業統治の在り方や親子会社に関する規律等を見直す必要がある…」との諮問第九十一号を受けて法制審議会に会社法制部会が設置され、我が国未曾有の災害の一つといえる東日本大震災の発生を挟む約2年半の審議の末、要綱案が確定した。要綱案は、これまで判例等で示された企業経営陣を中心とする多くの企業統治の問題点を明らかにし、今後の企業不祥事の発生に歯止めをかける道筋を示すとともに、経営効率の向上に向けた新たな監督機能強化等が盛り込まれており、案として確定したこ
日本行政書士会連合会は、行政書士法を改正して、「行政書士が作成することのできる官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立てについて代理すること」及び「ADR手続において代理すること」を行政書士の業務範囲とすることを要望し、そのための運動を推進している。日本弁護士連合会は、すでに2011年(平成23年)9月15日付け「行政不服申立制度の改革方針に関する論点整理(第2版)」に対する意見書及び2003年(平成15年)9月20日付けの「総合的なADRの制度基盤の整備について」の意見募集に対する回答書の中で、それぞれについて明確に反対しているものであるが、あらためて行政書士が行政不服申立て等の代理人となることについての問題点を以下のとおり指摘し、かかる運動に対する反対の立場を明確にするものである。 第一に、行政書士の主たる職務は、行政手続の円滑
本年7月30日、大阪地方裁判所第2刑事部において、発達障害がある男性が実姉を刺殺した殺人被告事件において、検察官の求刑(懲役16年)を超える懲役20年の判決が言い渡された。 本判決は、本件犯行について、「犯行動機の形成過程は通常人には理解に苦しむものがあり・・・被告人にアスペルガー症候群という精神障害が認められることが影響している」と認定し、かつ、被告人が未だ十分な反省に至っていないことについても同症候群の影響があり「通常人と同様の倫理的非難を加えることはできない」と認定しながら、「いかに精神障害の影響があるとはいえ、十分な反省のないまま被告人が社会に復帰すれば・・・被告人が本件と同様の犯行に及ぶことが心配される」こと及び「社会内で被告人のアスペルガー症候群という精神障害に対応できる受け皿が何ら用意されていないし、その見込みもない」ことを理由として、「被告人に対しては、許される限り長期間刑
2011年10月、滋賀県大津市の公立中学校2年生の男子生徒が自殺した事件及びそれを巡る社会の反応は、子どもの人権が守られない我が国社会の実情を露呈している。1986年に発生した東京中野富士見中学校のいじめ自殺事件以来、いじめによる深刻な人権侵害の克服が社会問題として焦眉の課題となってきたにもかかわらず、未だ有効な対策がとられていないことを示していると言わなければならない。 第一は、子どもたちのSOSに対して教師を始めとする学校関係者が耳を傾けなかった問題である。報道によれば、男子生徒が継続的にいじめを受けていたことを多くの生徒が知り、教師に対応を求めていた生徒や、さらには、いじめに当たるような事実を認識していた教師がいたにもかかわらず、中学校は、いじめとは判断しなかったとされている。文部科学省は、2009年3月に『教師が知っておきたい子どもの自殺予防』と題する冊子を発表し、子どものSOSを
本日、名古屋高等裁判所刑事第2部(下山保男裁判長)は、奥西勝氏に係る名張毒ぶどう酒事件第7次再審請求の差戻し異議審につき、再審開始決定を取り消して、再審請求を棄却する旨決定した。 本件は、三重県名張市で発生した、農薬が混入されたぶどう酒を飲んだ女性5名が死亡し、12名が傷害を負った事件であり、奥西氏は一審で無罪となったものの控訴審で逆転死刑判決を受け、最高裁判所で上告が棄却され、死刑判決が確定していた。当連合会は、1973年(昭和48年)に人権擁護委員会において名張事件委員会を設置し、以来奥西氏の救済のため最大限の支援を行ってきた。 本件は、2005年(平成17年)4月に名古屋高等裁判所刑事第1部(小出錞一裁判長)が再審開始を決定したが、検察官の異議申立てにより、2006年(平成18年)12月に名古屋高等裁判所刑事第2部(門野博裁判長)が再審開始決定を取り消し、2010年(平成22年)4月
政府が国会への提出を目指す秘密保全法案は、「特別秘密」という曖昧広範な概念を設定し、それを取り扱う者を管理する適性評価制度を導入すること及び刑罰を強化すること等によってそれを保護しようとするものである。 しかし、同法案を中核とする秘密保全法制が、国民主権、民主主義及び知る権利をはじめとする国民の諸権利に重大かつ深刻な影響を与えることは明らかである。その具体的理由は、以下のとおりである。 まず、秘密保全法制検討のきっかけとなったといわれる尖閣諸島沖漁船衝突映像の流出は、国家秘密の流出というべき事案とは到底いえないものである。また、立法事実とされている他の事案については、発覚直後に原因の解明・分析が行われ、再発防止のための具体的な対策が立てられているため、刑罰強化、適性評価制度等について立法を必要とする理由を欠いているといわざるを得ない。 さらに、「特別秘密」の概念は曖昧広範で、しかも、それを
意見書全文(PDFファイル;153KB) 2012年4月13日 日本弁護士連合会 意見書について 日弁連は、「商業・法人登記制度に関する意見書」を取りまとめ、2012年4月24日付けで法務大臣に提出いたしました。 意見書の趣旨 商業登記規則第61条を改正し、取締役会設置会社における取締役、監査役、執行役及び会計参与(以下併せて「取締役等」という。)についても、設立又は就任時の登記の申請書には、当該取締役等が就任の承諾をした事実を証する書面(承諾書等でその名称等は問わない。以下同じ。)の印鑑につき、市町村長の作成した証明書(印鑑登録証明書。なお、日本に在住しない外国人で印鑑登録をしない者が取締役等に就任する場合は、これに代わる書面。)を添付しなければならないこととすべきである。 (※本文はPDFファイルをご覧ください)
2011年8月8日、「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」は、秘密保全法制を早急に整備すべきである旨の「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」を発表した。その上で、政府における情報保全に関する検討委員会は、2011年10月7日、次期通常国会への提出に向けて法案化作業を進めることを決定した。 当該秘密保全法制については、以下に述べるように、国民主権原理から要請される知る権利を侵害するなど、憲法上の諸原理と正面から衝突するものであり、国民の間で議論が十分になされていない状況下で立法化を早急に進めることは、民主主義国家の政府の態度として極めて問題である。 当該秘密保全法制検討のきっかけとなった尖閣諸島沖中国船追突映像流出は国家秘密の流出というべき事案とは到底言えないものであり、立法を必要とする理由を欠くと言わざるを得ない。仮に、秘密とされるべきものがあるとしても、秘密保全の
当連合会は、死刑のない社会が望ましいことを見据えて、本年10月7日、第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択した。 我が国では、刑罰制度として死刑制度を存置しているが、死刑はかけがえのない生命を奪う非人道的な刑罰であることに加え、更生と社会復帰の観点から見たとき、罪を犯したと認定された人が更生し社会復帰する可能性を完全に奪うという根本的問題を内包している。かねてより、死刑制度については様々な問題点が指摘されているが、これまでに4件の死刑判決が再審により無罪となったことからも明らかなように、常に誤判の危険をはらんでおり、死刑判決が誤判であった場合にこれが執行されてしまうと取り返しがつかないという根本的な欠陥がある。さらに、現在の死刑執行方法である絞首刑については、去る10月31日に死刑判決が言い渡され
本日、最高検察庁は、「検察の理念」と題する検察基本規程を公表した。検察基本規程の制定は、本年3月31日に公表された検察の在り方検討会議提言「検察の再生に向けて」(以下「提言」という。)の中で、「検察官が職務の遂行に当たって従うべき基本規程を明文化した上で公表し、検察官の使命・役割を検察内外に明確にするべきである。」「その規程は、この提言において具体的に指摘する事項等の趣旨を踏まえ、外部の声を聞きつつ、多くの検察官が参加する議論・検討を経て制定するべきである。」との提起がなされたことを受けたものである。 検察基本規程の「あたかも常に有罪そのものを目的とし、より重い処分の実現自体を成果とみなすかのごとき姿勢となってはならない。」「無実の者を罰し、あるいは、真犯人を逃して処罰を免れさせることにならないよう、知力を尽くして、事案の真相解明に取り組む。」との記載は、提言の「検察官は、被疑者・被告人の
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