『野傾友三味線《やけいともじゃみせん》』(宝永五[一七〇八]年刊)は、北条団水《ほうじょうだんすい》作の短編小説集です。 『野傾友三味線』というタイトルは、江島其磧《えじまきせき》作の『役者口三味線』(元禄十二[1699]年刊)や『けいせい色三味線』(元禄十四[1701]刊)がヒットしたので、それに便乗して付けられたのでしょう。 クレームが来たのか、出版された翌月には『男女色競馬《なんにょいろけいば》』とタイトルが変更されています。 『野傾友三味線』の「野傾」[「野」は「野郎」、「傾」は「傾城(遊女)」の略]とはざっくり言えば、「男色」と「女色」のことです。 男色は男同士の恋愛で、女色は男女の恋愛です。 え?女性同士の恋愛の話はないのかって? それが、この時代には、女性同士の恋愛を描いた話がほとんどないんですよ。 その珍しい女性同士の恋愛の話は、以前に紹介しましたヾ(๑╹◡╹)ノ" kih