「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに制作する現代美術家・内藤礼は、光、空気、風、水、重力といった無尽蔵な自然と、それらがもたらす色彩や音を受けとる私たち地上の生を、ひそやかな、それでいて確かな希望を放つかたちに昇華させた空間作品で、国内外より高い評価を得ている。また、内藤はこれまで、きんざ『このことを』、豊島美術館『母型』といった自然や建築空間と呼応するパーマネント作品を手がけ、フランクフルトのカルメル会修道院や東京都庭園美術館といった歴史的な場所で展示を行ってきた。 国内において2014年以来の個展、かつ過去最大規模となる本展では、光を自身の作品における根源のひとつとしてきた内藤が、はじめて自然光のみによる、光と生命と芸術がけっして分別されえない「地上の生の光景」を見つめる空間を生み出す。 内藤はあるとき、「地上の生の内にいる者(私)が、生の外に出て、他者の眼差し