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ブックマーク / yoshim.cocolog-nifty.com (13)

  • しつこくS氏騒動・交響曲編 - 隠響堂日記

    S氏の《交響曲第1番》を最初に耳にしたのは、初演(2008年広島)の時の様子を映したYouTubeでの録画だ。この時は、G8議長サミット記念コンサートという名目で《交響曲》の1・3楽章が披露された(さすがに全曲では「長すぎる」と主催者側が判断したのだろう。それでもたっぷり40分以上という大曲だ)。 その頃のS氏はWikipediaにも未記載の無名の作曲家(ゲーム音楽マニアなら鬼武者の音楽で名前くらいは知っていたのかも知れないが)。当然、会場に聴きに来ていたお客のほとんどは「広島出身の若い作曲家」というくらいの知識しかない一般の人たちだったと思う。しかし、その「誰もが初めて聴く」しかも「オーケストラだけ」の音楽が「歌も映像も何もなく」1時間もの間延々と流れるのを、ホールを埋めた聴衆は(少なくとも)飽きることなくずっと耳を傾け、曲が終わると同時に万雷の拍手を浴びせていたのである。これは(実を言

    しつこくS氏騒動・交響曲編 - 隠響堂日記
  • またS氏騒動・長文多謝 - 隠響堂日記

    ☆楽譜出版《ASKS.orchestra》交響曲,協奏曲,室内楽などのスコアを電子版(PDF)で販売中。海外向け→** 出版作品一覧→***NEW ◆《図解クラシック音楽大事典》(学研)イラストとまんがでオーケストラや楽典から音楽史までを紹介する掟破りの入門書。旧〈音楽大事典〉の超大幅改訂復刻版。 ◆《作曲は鳥のごとく》(春秋社)自らの作曲家生活を綴った独学の音楽史@2013年3月刊 ◆《調性で読み解くクラシック》(ヤマハ)調性および音楽の謎を楽理・楽器・科学・歴史から読み解く文庫版入門書。

    またS氏騒動・長文多謝 - 隠響堂日記
  • 還暦コンサート《鳥の響展》事後報告 - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    去る3月20日(水・祝)東京オペラシティ・コンサートホールで、私の還暦記念コンサート《鳥の響展》が開催された。 現代のクラシック音楽(しかもオーケストラによる純音楽作品)に固執して35年。三十半ばくらいで野垂れ死にという予想に反してなぜかずるずると生き残り、敬愛する演奏家たちやオーケストラそして満員の聴衆たちに囲まれて還暦を迎える…という少々出来すぎの展開に。これもアベノミクスの影響(?)だろうか。 出演して下さった演奏家の皆さん、熱演して下さったオーケストラの皆さん、ホールを埋め尽くした聴衆の皆さん、そして関係者の皆さんに感謝。 プログラム・・・・・ 第1部 ・夢詠み(2012) 二十絃箏:吉村七重、チェロ:長谷川陽子 ・夢色モビール(1993) チェロ:長谷川陽子、 弦楽四重奏とハープ(東京フィル) ・スパイラルバード組曲(2011)より ホルン:福川伸陽、ピアノ:三浦友理枝 ・プレイ

    還暦コンサート《鳥の響展》事後報告 - 月刊クラシック音楽探偵事務所
  • 新春座談会「今だから話せる平清盛」 - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    A:1年間にわたって放送されたNHK大河ドラマ「平清盛」が無事終了しました。音楽制作の裏話については、「音楽制作メモ 」「音楽仕事」で紹介してきましたが、終わった今だから話せる…というお話もあるかと思いますので、新春架空座談会(?)と題して気楽にお話しいただきたいと思います。 吉松:お手柔らかに(笑)。 A:大河ドラマ50周年記念と言うことで鳴り物入りで始まりましたが、視聴率が低いということばかり報道されるという残念な側面もありました。 吉松:いきなりそれですか(笑) K:平均視聴率は12%ほどとふるわなかったんですけど、一方でTwitterなどでは凄い盛り上がりようで、トレンド・ランキング1位になるなどコアなファンは多かったようですね。 吉松:低いと言っても12%ということは毎週一千万人以上見ていた計算ですからね。クラシック系ビンボー作曲家からすれば、もう天文学的数字ですよ(笑) K:

    新春座談会「今だから話せる平清盛」 - 月刊クラシック音楽探偵事務所
  • 年末雑感〜連想噺 - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    □子供の声1 最近、ネット内で「赤ん坊の泣き声論争」がちょっとした話題になった。乗り物の中などでの赤ん坊の泣き声について「うるさい。迷惑」派と「温かく見守る」派の対立ということらしい。 ちなみに私も、子供の泣き声というのはこの世で一番苦手な音のひとつだ。ただ、それは人間として至極当然の反応だと思うのだ。 そもそも赤ん坊のように言葉でのコミュニケイション能力を持たないものは、自分が「不快な状況」(お腹がすいた…とか、排泄の必要がある…とか、眠い…とか)にあることを「音声信号」だけで第三者に伝えなければならない。 そのため、通常の「あー」という発声にできる限りの変調(歪み:ディストーション)をかけて「ぎあ~」とか「うぎゃあ~」というノイズ(騒音)を作り出し、しかもそれをリミッターをかけない最大出力で放射する。 目的は、自分の現状が「不快」であることを明確に伝えることにあるのだから、「ぴよぴよ」

    年末雑感〜連想噺 - 月刊クラシック音楽探偵事務所
  • 賛美歌の中の天使たち - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    むかし、ヨーロッパ留学していた学生時代の友人が久しぶりに帰国したので会ったとき、その第一声が「いいなあ、音楽が出来るやつは…」だった。 理工科系エンジニアとしての留学なので、音楽の素養など全然関係なさそうだが、ちょっと人が集まるパーティなどでは必ず「何か歌って」という話になる。特に、日から来たということになると「何か日の歌を聴かせて」という声が必ずあがるのだそうだ。 そこで、初めてポップス以外の日の歌をほとんど知らない自分に気付き、リクエストに応えて(日では一度も歌ったことのないような)「サクラ、サクラ」とか「五木の子守歌」とかをうろ覚えの怪しい歌詞で歌ったのだが、死ぬほど恥ずかしい思いをしたという。 それに対して、欧米系の学生は3〜4人集まるとすぐなにやらハモる歌が歌えるのだそうだ。それも、子供の頃から勉強一筋で音楽にも楽器にもまったく縁遠かったというような(彼と同じ側にしか思え

    賛美歌の中の天使たち - 月刊クラシック音楽探偵事務所
  • 人間60年・作曲家35年 - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    来年3月「還暦コンサート」を催してもらうことになった。 そう言われて気付いてみれば、人間を始めて…来年でもう60年になるのだった。(ちなみに、還暦というのは干支(えと)が一回りして還ること。念のため) 音楽に目覚めたのは46年ほど前の14歳の冬。 デビューは(「忘れっぽい天使」という曲が初めてコンサートで演奏された)1978年(25歳)とすると、作曲家になってから35年といったところか。 しかし、ふと我に返ると「なぜ作曲家なんてやってるのだろう?」と狸に化かされた感も少し。 確かに、子供の頃から「ものを作る」(プラモデルや模型や怪しい手製の武器類などを製造する)ことや「一人でこつこつやる」(読書にふけったりマンガを書いたり雑学研究などに浸る)ことは好きだったから、怪しい才能は色々あったと思う。 でも、こと「音楽の才能」に関しては・・・持っていると感じたことは一度もない。 音楽家の多くは、幼

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  • 音符と総譜と音楽と - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    クラシック音楽に興味を持ったのは14歳の時だった。 それまでは、普通にポップス(ビートルズやグループサウンズ)を聞きあさる中学生。クラシックの楽曲に特に親近感を感じたことはなかったのだが、高校受験真っ最中の冬、いきなり「作曲家になる!」と決めてしまう出来事があった。 それが、オーケストラと「スコア(総譜)」との出会いだった。 スコアはオーケストラの各楽器が演奏すべき「音符」がすべて書き込まれた、機械や建築でいう〈設計図〉、鉄道や飛行機でいう〈時刻表〉、舞台や映画でいう〈台〉のようなもの。 そこに書き込まれた音符の通りにオーケストラの全楽器が音を出すと、あら不思議。「運命」だの「新世界」だの「悲愴」だの「幻想」だのという音響宇宙が鳴り響くのである。 しかも、それは単なる音の連続ではなく、美しかったり壮大だったり懐かしかったり心震えたり気持ちが昂揚したり、いろいろな感情を心の中に沸き立たせ、

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  • 大河ドラマ「平清盛」音楽制作メモ - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    今年(2012年)のNHK大河ドラマ「平清盛」の音楽を一年間担当することになった。1月8日(日)が第一回放送。12月まで全50回の長丁場である。 NHKの大河ドラマは個人的に1963年の第一作(花の生涯)からリアルタイムで見ている。当時はまだ小学生で、64年の「赤穂浪士」、65年の「太閤記」の頃まではまだ白黒テレビの時代。1969年「天と地と」(音楽:冨田勲)からカラーになり、以後、毎年ほぼかかさず見るようになった。 もともと戦国武将が出て来るような歴史ドラマが好きだったこともあるが、60〜70年代は、芥川也寸志(赤穂浪士:1964)、武満徹(源義経:1966)、三善晃(春の坂道:1971)、林光(国盗り物語:1973)、山直純(風と雲と虹と:1976)といったクラシックの錚々たる作曲家たちが音楽を担当していたのが大きい。 なにしろオープニングのテーマ曲はNHK交響楽団が演奏し、タイトル

    大河ドラマ「平清盛」音楽制作メモ - 月刊クラシック音楽探偵事務所
  • 作曲家のハローワーク - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    今回は、某新書用に書き下ろしたものの、シビアすぎてボツになった「作曲家のハローワーク(作曲家の現在)」の一部を邦初公開。(ちょっと長編) * 作曲家というのは、読んで字の如く「曲」を「作る」人のこと。英語では「コンポーザー(Composer)」という。音楽を「組み立てる(cmposeする)」人というような意味である。 クラシック業界や学校の音楽室で「作曲家」と言ったら、ベートーヴェンやバッハのようなクラシックの作曲家の(ちょっと怖い)肖像画の顔が思い浮かぶ。 でも、街で「作曲家」と聞いて普通に思い浮かべるのは、やはりポップスや歌謡曲のヒット曲を書いた作曲家。一方、「作曲:だれだれ」というクレジットが多くの人の目にとまるのは、映画テレビ音楽を書いている作曲家だ。 というわけで、シビアな「作曲家」のリアルなお話。まずは、どんなタイプの「作曲家」がいるのかから話を始めよう。 ■作曲家の種類

    作曲家のハローワーク - 月刊クラシック音楽探偵事務所
  • クラシック音楽の新しいレパートリーを考える - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    昨年秋の、新政権による行政刷新委員会の事業仕分けは、音楽界にも飛び火し「どうして2番じゃいけないんですか?」という驚愕の質問と共にクラシック界にも衝撃が走った。特に、オーケストラへの助成金の見直し…という一項には、あちこちから悲鳴に近い声が上がったほどだ。 当然ながら、指揮者やオーケストラ関係者を中心に政府への抗議の声が上がったわけなのだが、実を言うと政治家サイドの「芸術に対する無理解な発言」などより遙かに衝撃的だったのは、その後ろで一般市民からあがった「どうしてオーケストラなんかに我々の税金を投入しなければならないの?」という素朴な疑問と冷たい批難の声の方だった。 そもそも日における「クラシック音楽」というのは、明治以降「西洋に学べ」「西洋に追いつき追い越せ」という国是の中で推奨されてきたもの。かつてはドイツ人のようにベートーヴェンを演奏し、イタリア人のようにオペラを演じる…ことがすな

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  • 映画音楽の作り方 - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    最近、「ヴィヨンの〜桜桃とタンポポ」という映画音楽を担当した。 太宰治の生誕100年記念として企画された映画で、原作は小説「ヴィヨンの」。監督:根岸吉太郎、脚:田中陽造。主演は、松たか子、浅野忠信。公開に先立ってモントリオール国際映画祭で最優秀監督賞を受賞し、この10月に全国ロードショー公開された。 そこでこの機会に、映画音楽について体験談も交えてお話しておこう。 * ◆映画音楽とは? 「映画音楽」というジャンルが登場したのは、1920年代にトーキー映画が普及してからだから、結構新しい。 当然ながら主立ったクラシックの作曲家は関与しておらず、「映画音楽」というジャンルに音楽を提供したのは、オネゲルやミヨー、プロコフィエフやショスタコーヴィチあたり以降の現代作曲家ということになる。 ただし、〈作曲家〉(および脚家)が中心になって作られていた「オペラ」に比べ、「映画」を統括するのは(

    映画音楽の作り方 - 月刊クラシック音楽探偵事務所
  • 作曲家はどうやって「調性」を選ぶのか? - 月刊クラシック音楽探偵事務所

    クラシック音楽で特徴的かつ何となく不思議に思えるのは、作品の名前に「ハ長調」とか「ホ短調」とかいう調性が大きく付記されていることではなかろうか。 いわく、交響曲第5番ハ短調・・・いわく、ピアノ協奏曲第1番変ロ長調・・・いわく、ヴァイオリン協奏曲ニ長調・・・いわく、ピアノソナタ ヘ短調・・・ もちろんジャズやポピュラー音楽でも「キイ(調性)」は重要なポイントだが、作品名に「Am」とか「C#」とか付けたりはしない。 それどころか作品によっては、歌手が歌いやすいように(あるいは楽器で演奏しやすいように)キイを下げたり上げたりする。 それでも、調は変わっても「その曲」は変わらない。 でも、クラシックの場合は、「作品」の性格がその「キイ(調性)」によって決定されている…と言って良いほど、「作品」と「調」は密接な関係にある。 作曲家は、「絶対このキイでなければならない」と念じて作曲し、作品はその調以外

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