ベテランや中堅の詩人が実験的試みに挑んだ一方、若い世代の進出も際立った2009年の詩壇。底流には、どのような問題意識が読み取れるのか。本紙で時評を執筆している松浦寿輝さん、詩論も積極的に手掛ける城戸朱理さんの2人の詩人に語り合ってもらった。【構成・大井浩一、写真・佐々木順一】 ◇虚をつかれた岡井隆氏の試み--松浦さん ◇活況呈した「ゼロ年代」の詩人--城戸さん 城戸朱理さん 今年一番注目した詩集は、岡井隆さんの『注解する者』でした。 松浦寿輝さん 同感です。虚をつかれる試みで、これで詩になるのかという驚きがあった。詩に詩を重ね合わせていくという、いわばメタポエトリーの試みはいろいろ前例がありますが、岡井さんは肩ひじ張った方法意識なしに、自由自在に既存の言葉の上に注解の水を注ぐ。そうして潤(ほと)びた土壌から新しい詩歌の植物を繁茂させていく。豊かな詩魂の躍動があった。 城戸 参照される作品に