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ブックマーク / ebravo.jp (14)

  • 務川清話 其の三

    ——ポロネーズ・ファンタジー。 男はその音楽をそう呼んだ。そこに理由などない、ただ、幻想というものの性質、そして、自分がこれまで生きてきた微かな証のようなものがあって、その二つが無意識に手を取り合った、ただそれだけのことである。 辺りはまだ幾分明るかった、しかし、そのことが何かを意味するのではない。そもそも、物事というものは何かを意味するわけではない。絶望が深く沁みついてゆくわたしのこの身体に、残ったもの、それは、意味などではない。そこに在ろうとしながら、結局無なる、単なる一つの幻であった… ——幻想のポロネーズ。 誇り高き人々が、その優美な力を失くす時が、来なければならないとするのなら、それは他でもない、今なのだろう!清き民衆の運動か、勝ち誇る群衆の雄叫びか。ともかくそれは大きな響きであった。私たちの希望全てを託すにまったく相応しいほどに、大きな大きな響きであった! しかしそれは、在りし

    務川清話 其の三
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    hyougen 2024/08/08
  • 秋山和慶さんにインタビューしました

    7月22日、指揮者の秋山和慶さんにインタビューしました。5月にケガをされてしまいましたが、この日はすっかりお元気なご様子。 うかがったのは9月18日にサントリーホールで開催される「齋藤秀雄先生 没後50年 メモリアル・コンサート 〜小澤征爾さんへの哀悼とともに〜」について。 もちろん質問は、齋藤秀雄さん、小澤征爾さんに関するものになりましたが、秋山先生ならではの貴重なエピソードをお話しいただきました。 そのうちのひとつをご紹介。齋藤先生は、土門拳さん(日を代表する歴史的写真家)と親しくされていて桐朋学園にも撮影にいらしたそうです。土門さんは、演奏しているオーケストラの中に構わず入っていって撮影を開始。齋藤先生は苦い顔をしながら練習を続けたとのことでした。さすがの齋藤先生も土門拳さん相手では・・・。 インタビューはもちろん音楽のお話が中心、8月18日発行のぶらあぼ9月号をお楽しみに! 【I

    秋山和慶さんにインタビューしました
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    hyougen 2024/07/26
  • interview ファビオ・ルイージ(NHK交響楽団 首席指揮者)

    ファビオ・ルイージがNHK交響楽団と首席指揮者としての3年目のシーズンを迎える。ドイツ・ロマン派の伝統的なレパートリーを改めて王道に据えて、新たな作品にも意欲的に臨み、今日的な感性で息づかせるのが、ルイージとN響の新時代のテーマである。 「2001年から互いをよく知っていますから、新しい関係ではないですけれど、非常に密度の濃い日々をともに過ごしています」と、ファビオ・ルイージはしっかりと語った。 「首席指揮者への就任に際して、N響が歴史的に自らの特別な強みを中央ヨーロッパのロマン派の音楽に置いてきたことを重視しようというお話があり、それがまさしく私の得意とするレパートリーと合致したのです。スウィトナーさんやサヴァリッシュさんの演奏は私も大好きで尊敬していますが、彼らのスタイルを模倣するという意味での継承を目指してはいません。私のアプローチは、作曲家がどういう意図で書いたかをスコアから直接学

    interview ファビオ・ルイージ(NHK交響楽団 首席指揮者)
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    hyougen 2024/07/20
  • interview 沖澤のどか(セイジ・オザワ 松本フェスティバル 首席客演指揮者)

    セイジ・オザワ 松フェスティバル(OMF)は、今年2月に名実ともに柱であった小澤征爾総監督を亡くしたが、今夏、2022年のOMFの《フィガロの結婚》で大成功を収めた沖澤のどかを首席客演指揮者に迎え、アンドリス・ネルソンスを再招聘して、新たなスタートを切る。 —— まずは2022年の《フィガロの結婚》の感想を教えてください。 松も、サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)も初めてでした。SKOは憧れの存在だったのでそこで自分が《フィガロの結婚》を振るというプレッシャーと興奮、それから実際に音楽が始まったときの体が軽くなるような感覚が忘れられません。 SKOは、リハーサルで一番初めの序曲が始まった瞬間に、もう音楽が勝手に動き出す感じでした。最初の「レドレドレ」というその一息だけで、何か大きな風が吹いたというか…。単にぴったり合っているとかそういう次元じゃないんです。みんな「これがフィガロだ

    interview 沖澤のどか(セイジ・オザワ 松本フェスティバル 首席客演指揮者)
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    hyougen 2024/06/20
  • コンポージアム特別対談:挾間美帆(作曲家)× 小室敬幸(音楽ライター) 【後編】
現代音楽とジャズの邂逅 〜ターネジの音楽をめぐって〜

    特集TOPぶらあぼ5月号記事INTERVIEW マーク=アンソニー・ターネジ特別対談:挾間美帆×小室敬幸【前編】特別対談:挾間美帆×小室敬幸【後編】ゲネプロレポート(近日公開)武満徹作曲賞レポート(近日公開) 東京オペラシティの同時代音楽企画『コンポージアム』に今年はマーク=アンソニー・ターネジが招かれる。ニューヨークを拠点にヨーロッパでも活躍するジャズ作曲家 挾間美帆と、大学院時代にマイルス・デイヴィスの研究をしていた音楽ライター 小室敬幸による対談の前編では、ターネジ作品に練り込まれたジャズの要素について語ってきた。後編ではターネジの話題から少し離れて、ジャズと現代音楽の関係性について改めて考え直していくようだ。 「この音にはどういう意味があるんですか?」 小室 挾間さんはもともとクラシック一筋だったのに、国立音楽大学の学生ビッグバンドであるNEWTIDE JAZZ ORCHESTRA

    コンポージアム特別対談:挾間美帆(作曲家)× 小室敬幸(音楽ライター) 【後編】
現代音楽とジャズの邂逅 〜ターネジの音楽をめぐって〜
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    hyougen 2024/05/29
  • コンポージアム特別対談:挾間美帆(作曲家)× 小室敬幸(音楽ライター) 【前編】
現代音楽とジャズの邂逅 〜ターネジの音楽をめぐって〜

    コンポージアム特別対談:挾間美帆(作曲家)× 小室敬幸(音楽ライター) 【前編】
現代音楽とジャズの邂逅 〜ターネジの音楽をめぐって〜
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    hyougen 2024/05/24
  • ファビオ・ルイージさんにインタビューしました

    5月15日、NHK交響楽団の5月公演に出演している首席指揮者ファビオ・ルイージさんにインタビューしました。取材は、今週末の定期公演Cプログラムのリハーサル後に行われました。 お話のテーマは、3月に詳細まで発表された2024-25シーズン定期公演(2024年9月~2025年6月)のプログラム。また、2025年5月にオランダ・アムステルダムで開催される「マーラー・フェスティバル」についても語ってくださいました。史上3回目、世界一流のオーケストラが招かれて10日間にわたりマーラーを全曲演奏する一大イベント。N響の初出演に期待が高まります。 インタビューはさらに、いまクラシック音楽を演奏することに対する意義、基的な考え方など、深いお話に発展。 取材前、マエストロが現れると周囲に何か高貴な香りが漂い・・・ 「これがマエストロ自作の香水!?」とスタッフ一同盛り上がりました♪ インタビュー記事は、ぶら

    ファビオ・ルイージさんにインタビューしました
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    hyougen 2024/05/18
  • 角野隼斗が語る「Apple Music Classical」

    3月22日、Apple 表参道で行われたイベント「Today at Apple」にピアニストの角野隼斗が登場した。 「Today at Apple」は、Apple製品の基的な使い方を学ぶことができる講座で、各地のApple Storeやオンラインで実施されている。この日は、今年1月に提供が開始されたクラシック音楽専用の新しいアプリケーション「Apple Music Classical」のアンバサダーを務める角野が、アプリの魅力を語った。 「Apple Music Classical」は、Apple Musicのサブスクリプション登録者であれば追加費用なしで利用できる独立したアプリ。500万以上の楽曲をそろえたこの分野最大級のカタログから、研究チームが7年以上の歳月をかけて作成したメタデータをもとに、作曲者、作品名、楽器、時代などのキーワードから特定の音源にアクセスが可能。 日のアンバサ

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    hyougen 2024/03/24
  • 世界から愛されて――天衣無縫の巨人

    武満徹氏作曲の「ノヴェンバー・ステップス」(管弦楽、琵琶、尺八という組み合わせで演奏される)という有名な作品は、1967年11月、小澤征爾さんがニューヨーク・フィルハーモニックを指揮して世界初演したものであることは、どなたも御存じであろう。小澤征爾さんの訃報が解禁された今年2月9日の夜、サントリーホールでは山田和樹氏の指揮する読売日交響楽団が、偶然にもその曲を演奏していたのだ。不思議な巡り合わせである。私はその演奏を聴きながら、57年前に小澤さんがその初演を指揮する直前だったか直後だったか、私が制作していたFM東海(東海大学FM放送。FM東京の前身)の番組に出演してくれ、その曲について「凄い曲だよ」と興奮して語っていたのを懐かしく思い出していた。彼は、尺八の音を身振りと口とで真似し、こう言ったのだ。「オーケストラのあとにこういう、ボウウウウッて音が延々と続いて行く曲なの。僕、圧倒されても

    世界から愛されて――天衣無縫の巨人
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    hyougen 2024/03/18
  • 総監督の遺志を引き継いで 〜2024セイジ・オザワ 松本フェスティバルの概要発表

    サイトウ・キネン・オーケストラ創設40周年 「2024セイジ・オザワ 松フェスティバル(OMF)」の今夏の概要が2月22日、発表された。会期は8月9日〜9月4日の約1ヵ月。2月6日の小澤征爾総監督の逝去を受けて、開催の行方が注目されていたが、サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)創設40周年の節目に、齋藤秀雄や小澤の薫陶を受けた音楽家たちが再び松に集うことになる。 メインとなるオーケストラコンサートで指揮台に上がるのは、2022年に《フィガロの結婚》でOMFデビューを飾った沖澤のどかと、同年にOMF30周年記念特別公演でタクトをとったアンドリス・ネルソンス。沖澤はオペラ公演にも登場するが、今回、生前の小澤が沖澤をOMF首席客演指揮者に指名していたことも併せて発表された。 公表された生前の小澤総監督によるコメントには、二人の指揮者への温かいメッセージも含まれている。 サイトウ・キネン・

    総監督の遺志を引き継いで 〜2024セイジ・オザワ 松本フェスティバルの概要発表
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    hyougen 2024/02/24
  • 2023〜2024年 年末年始のクラシック音楽番組情報まとめ

    今年の締めくくり、そして新年の始まりをクラシック音楽で過ごしたい方々へ、12月23日~1月8日放送のクラシック音楽番組情報をまとめました!注目番組をご紹介📺👀 まず12月25日〜31日 には「バイロイト音楽2023」(NHK FM)が放送!音楽祭の初日を飾り、3DメガネでAR(拡張現実)を取り入れたことで話題となった《パルジファル》など7作品がラジオにて放送されます。 大晦日は「東急ジルベスターコンサート2023-2024」。年越しの「名物番組」としてもおなじみとなっているジルベスターコンサートですが、今年のカウントダウンは、チャイコフスキーの交響曲第5番第4楽章。指揮は実に13年ぶり・4回目の登場となる“炎のマエストロ”こと小林研一郎。ゲストには、国内外で活躍する注目の若手ヴァイオリニスト周防亮介をはじめ、テノール笛田博昭、ピアニスト松田華音が出演。 元日には恒例の「ウィーン・フィ

    2023〜2024年 年末年始のクラシック音楽番組情報まとめ
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    hyougen 2023/12/22
  • INTERVIEW N響首席指揮者ファビオ・ルイージ マーラーを語る

    2022年9月、NHK交響楽団の首席指揮者に就任したファビオ・ルイージ。任期は3年の予定だったが、就任からおよそ1年で早くも3年間の延長が発表された。聴衆からの人気、オーケストラとの関係の良さが窺い知れる。さらに任期中の2026年はN響の創立100年となる重要なシーズン。マエストロへの大きな信頼の表れだろう。 12月の定期公演にはそのルイージが登場。ファン投票によって選ばれた大曲、マーラーの交響曲第8番「一千人の交響曲」などを披露する。来日公演さなかの多忙なスケジュールの合間を縫って、インタビューに答えてもらった。 取材・文:柴田克彦 ── ルイージさんは今年12月のN響第2000回定期公演を指揮されます。まずはこのことについての思いをお聞かせください。 2000回目の定期公演を迎えること自体が、オーケストラのクオリティや継続性を如実に示しています。それを指揮するのは大変な名誉であり、しか

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    hyougen 2023/12/06
  • 「四人組」、西村朗氏追悼の意を込めて室内楽の夕べ、現代音楽を世界へ発信

    文:池上輝彦(日経済新聞社チーフメディアプロデューサー) 同時代を生きる作曲家の作品を世界へ発信する「全音現代音楽シリーズその29 四人組とその仲間たち 現代室内楽の夕べ」が2023年12月21日、東京・上野の東京文化会館小ホールにて開催される。「四人組」とは現在、池辺晋一郎、新実徳英、西村朗、金子仁美の4氏。1994年から30年近く続くシリーズ公演だが、2023年9月には西村氏が69歳の若さで急逝した。今回は同氏の「カラヴィンカの歌 独奏チェロのための」をチェリストの山澤慧が追悼演奏する。今回ゲストの作曲家は長生淳。5人の作品から日の現代音楽の今を聴ける貴重な機会だ。 全音が新作を委嘱し世界初演するシリーズ 「四人組とその仲間たち」は、全音楽譜出版社(東京・新宿)が進める同時代音楽のプロモーション活動を象徴する室内楽コンサート・シリーズ。楽譜出版社が単独で毎年1回開く世界でも珍しい企

    「四人組」、西村朗氏追悼の意を込めて室内楽の夕べ、現代音楽を世界へ発信
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    hyougen 2023/11/30
  • 追悼ピエール·ブーレーズ 1925-2016

    In Memoriam Pierre Boulez 1925-2016 20世紀後半以降を代表する最大の作曲家・指揮者として偉大な功績を遺したピエール・ブーレーズ氏が1月5日、ドイツ、バーデン=バーデンの自宅で死去した。享年90。この日は奇しくも、盟友マウリツィオ・ポリーニの誕生日だった。 (文:ぶらあぼ編集部) ©Jörg REICHARDT/DG ブーレーズ氏は1925年フランス生まれ。パリ国立音楽院で作曲家メシアンに師事、40年代にはその門下として頭角を現しはじめ、50年代には「ル・マルトー・サン・メートル(主のない槌)」「プリ・スロン・プリ」などの傑作を次々と発表。ドイツのシュトックハウゼン、イタリアのノーノと共に「前衛三羽烏」と呼ばれ、同時代における代表的な作曲家としての名声を不動のものとした。この時期の作曲スタイルは「トータル・セリエリズム」の確立、そして「管理された偶然性」の

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    hyougen 2020/09/02
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